“高校生の妊娠”を描くドラマ『あの子の子ども』/ 正解のない着地点をエンタメとして昇華させるアベラヒデノブ監督にインタビュー
――学校や神社、土手など…生活感あふれるロケ地が印象的ですよね。
今回特に公園探しに苦労しました。最初は主人公たちの近所にある、ブランコやベンチや砂場があるという一般的な四角い公園をイメージして探してもらっていましたが、いざ見に行ってみると、4話を作り出せるシチュエーションには達しないのではないかということで難航しました。この公園は、後半話にいくにつれ、どんどん主人公2人にとって人目のない、2人だけで会話をできる愛しい場所になってきます。 それにふさわしい場所にした方がいいのではないかということになり、当初候補から外していた緑地公園に一度行ってみようということになりました。 実はその日、別の公園候補にもロケハンに行っていて、その場所から今回の公園まで1時間半の移動が必要ということで葛藤もありましたが、みんなで意を決して「行こう!」ということになりました。 実際現地につくと、「すごい何この景色!!」と、みんな初めて海外旅行来たかのように一気にテンションが上がって、ここしかないと即決でした。 その時に、苦労や合理的な判断だけでは見えてこないものがあるなと感じました。あの時ロケハンで1時間半かけて移動するといったような、一見無駄に思える努力が線になった瞬間をみんなで体感できたぐらい好きな公園になりました。 ―福(桜田ひより)が通う学校のロケ地は、ロケなび!でも紹介している千葉県茂原市の学校ですね。 あの空気、元々中学校だったみたいで、すごく良かったですね。 最後クランクアップまでの3日間は茂原市での撮影でした。10話、11話、12話の学校のシーンは最後の3日間で一気に撮っていましたが、今一番思い出深い土地かもしれないですね。 空き時間に裏門から出て少し左の細路地を抜けると、住宅街に囲まれた広い田んぼがあって、たまにそこに1人で腰掛けて息抜きをしていました(笑) 僕にとって街全体がすごく癒される場所でした。いい街ですよね。 今作では学校を優先的に撮っていましたが、通学路やそれ以外の道でも使いたいシチュエーションがいっぱいありました。あの学校裏にある田んぼ道は1回でいいから使ってみたいですね。