認証不正のトヨタ、豊田氏の取締役賛成率が急落、株主から厳しい声も、総会全体は淡々と終了
トヨタグループのガバナンスのあり方に、かつてないほど大きな注目が集まる中で迎えたトヨタの株主総会。取締役選任議案に対して、アメリカの議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスが「(認証不正問題の)最終的な責任は長年のトップを務めてきた豊田会長にある」と、豊田会長の取締役再任に反対するよう推奨していた。 6月19日に開示された臨時報告書によると、豊田会長の取締役再任への賛成率は71.93%と昨年の84.57%から12ポイント以上、2022年からは23ポイント以上低下した。
一方、佐藤恒治社長は95.44%。他の取締役も早川茂副会長(89.53%)を除けば90%台だった。この結果についてトヨタは「トヨタという法人に対し、主に機関投資家から議決権行使基準に従った率直な指摘をいただいたと受け止めている」とコメントしている。 昨年に続いて欧州の機関投資家から提出された、気候変動関連の報告書作成に関する株主提案は否決された。株主提案への賛成率は15.06%から9.17%に下がった。
■懸念する声もあれば、応援の声も 質疑応答では、質問した12人のうち不正に触れたのは4人。「本当にこれまで同様の進め方ができるのか不安に思っている」「少し認識が甘かったのではないか」などと経営に対する懸念の声があった。 一方、トヨタの電動車戦略や5兆円以上の営業利益が出ている中でのステークホルダーへの還元策、ソフトウェア領域の開発への考え方、トヨタが開発している自動運転の実験都市「ウーブンシティ」の進捗など幅広い質問が出た。
トヨタ車を父親の代から10台以上乗り継いできた男性株主など、応援の声や期待する意見もあった。総会全体が極めて厳しい雰囲気だったかというと、そうでもない。 この日、佐藤社長は「株主の皆様、お客様にはご心配、ご迷惑をおかけし大変申し訳ありません」と陳謝した。不正を起こしたトヨタ、ダイハツ、豊田織機、日野の4社で認証業務と開発・生産に関わる一連の工程を改めて点検する研究会を立ち上げ、豊田会長が主導する形で問題点の洗い出しと再発防止策の策定に取り組んでいることも報告した。