チョコレートが包む甘い芸術作品 フェリシモのミュージアムで有名パティシエが出展
「スイーツの街」として知られる神戸にチョコレート好きが足を運ぶ場所がある。通販大手のフェリシモが企画・運営する「フェリシモ チョコレート ミュージアム」(神戸市中央区新港町)だ。世界中から集めたチョコレートのパッケージ約1万8千点を常設展示。現在開催中の企画展では日本を代表するパティシエの一人、小山進氏がチョコレートで作った恐竜像が注目を集めている。 【写真】石村嘉成氏の作品をデザインに取り入れたパッケージとカカオフィナンシェ ■笑顔を生む菓子 フェリシモは昭和40年創業で大阪に本社を置く会社だった。神戸市の「ファッション都市宣言」に魅力を感じ、平成7年9月に同市に移転した。移転前の同年1月17日に阪神・淡路大震災が発生。移転を白紙に戻すことも考えられたが、被災地とともに発展、成長を目指すことを決意した。以来、地域への貢献を強く意識した事業展開を進めてきた。 チョコレートミュージアムはそんな歴史と無縁ではない。元町の旧居留地にあった旧本社より海寄りの場所に自社ビル建設を計画する際、多くの人に開かれ、地域に喜んでもらえるミュージアムを建物内につくることにした。 展示のテーマは「チョコレート」と決めた。約150年前に開港された神戸は海外との交流の玄関口として発展し、洋菓子文化が栄えてきた。ユーハイム、モロゾフといった神戸発の老舗ブランドはその象徴だ。今もパティシエが腕を競う多種多様なお店があり、地元に限らず全国からファンを集めている。「スイーツ」は神戸の重要な観光資源の一つに数えられている。 「チョコレートには食べる人、作る人、贈る人、みんなを笑顔にするやさしさと力がある」と考えたフェリシモは約25年前、世界で発掘したチョコレートのカタログ『幸福(しあわせ)のチョコレート』で販売を始めた。バイヤーが各地を訪れ、パティシエと直接会い輸入する。最新の2025年版では31カ国、日本初が19社の商品が掲載されている。売り上げの1%はチョコレートの主原料、カカオを栽培する農家の生活向上や児童労働をなくす活動に使われる。 カタログに並ぶチョコレートは、味もさることながら、パッケージデザインにはショコラティエ(チョコレート菓子専門の職人)の思いや創造性が余すことなく表現されている。捨てるには惜しく、鑑賞に十分値するものと考えた。ショコラティエや菓子メーカー、広く一般からもパッケージを寄贈してもらい、コレクションとして保管、公開することにした。