阪神のサヨナラ満塁弾に屈した原巨人3つの致命的ミス
巨人が29日、甲子園球場で行われた阪神戦で延長12回に高山に代打サヨナラ満塁本塁打を浴びて痛い星を落とした。巨人は阪神と入れ替わりで3位に転落。悪夢のような逆転負けを喫した巨人は、この試合で、実は3つの致命的なミスを犯している。 一つ目は走塁ミス。丸の先制本塁打などでゲームの主導権を握っていた巨人は4-2とした8回に一死三塁の絶好の追加点機を作った。巨人ベンチは代打・阿部を打席に送る。阿部の一、二塁間を襲ったゴロを阪神のマルテがダイビングしてストップ。本塁へ送球しかけて、一度、ジャックルしたが、三塁走者が走っていないことを確認すると、冷静に一塁カバーに走った守屋へつないだ。 三塁走者の岡本はスタートを切ったが、打球の行方を見て躊躇した。「ゴロゴー」か「抜けてから」かの戦術はベンチの指示。もちろん阪神の内野は前進守備を取っていたが、次打者が田中俊で、ここは巨人ベンチは「阿部で勝負」だったのだからセオリーで言えば「ゴロゴー」である。バットに当たってゴロだと判断した瞬間に走者がスタートを切る戦術で、もっと早い判断でスタートする「ギャンブルスタート」もあるが、唯一怖いのがライナーとなってしまっての併殺打。ただ、その場合は「仕方がない」とされている。阿部の打球はライナーではなかったし、打球の判断は決して難しくなく、結果論かもしれないが、マルテがジャックルしたのだから「ゴロゴー」であれば勝負を決める5点目が入っていた。 先の広島戦では、元木・三塁コーチの指示で、岡本は浅いセンターフライにギャンブル覚悟のタッチアップを仕掛けて勝利をもぎ取った。だが、ここでは、なぜか“元木―岡本コンビ”は、その思い切りを見せなかったのである。この場合の「ゴロゴー」は広島戦のタッチアップよりもギャンブル度は低い。二死三塁とチャンスは続いたが、田中俊は見逃しの三振に終わり、ここで奪えなかった追加点の1点が後々、響いてくるのだ。 2つ目のミスは、その裏に起きた。 3番手の沢村が二死一塁から、打率.203のマルテに同点5号2ランを浴びたのだ。マルテが試合後「満足している。チームのためになって良かった」と振り返った初球の143キロのストレート。 一発だけを避けなければならない場面で、まさかの失投。まだ打席でしっかりとした“間”の作れないマルテには、決定的な弱点があるが、逆にそのタイミングがピッタリと合う“ツボ”もある。丁寧に揺さぶるべきだったが、バッテリーは“やってはならないミス”を犯した。レフトポール際を襲った打球を重信はフェンスによじ登って追ったが届かなかった。