2023年はAIの年だった、と言っても過言ではないだろう。この新しいテクノロジーの出現と急速な発展は、拡大と変化と混乱が相まって形作られている、デジタル領域を象徴するような存在にも感じられる。 一方で、デジタルの未来は不透明だ。市場におけるすべてのプレイヤーが、先の見えないなかでいかに足場を固め、次のステップへと進めるのか模索を続けている。DIGIDAY［日本版］恒例の年末年始企画「IN/OUT 2024」では、 DIGIDAY［日本版］とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブや次世代リーダーに2023年を振り返ってもらい、2024年に向けてどのようなチャレンジを企図し、次なる成長を実現しようとしているのか伺った。 マースジャパンリミテッドにて、デジタルコマース・事業部長を務める国分純子氏の回答は以下のとおりだ。

──2023年に挙げたもっとも大きな成果はなんですか。

使命（Purpose）でつながり、より消費者視点のデジタルコマース戦略推進。マース ペットケアは、「ペットのためのより良い世界（A BETTER WORLD FOR PETS）」の実現という使命（Purpose）を掲げています。取り組みにあたり、特にパフォーマンスマーケティング領域では、費用対効果中心の評価になることが多いですが、明確な目的を設定して3～5カ年戦略を描き、ビジネス指標と共に社会的なインパクトにつながる保護猫や保護犬をサポートする活動も推進してきました。 また、マーケットプレイスとDTC領域の戦略も連携しつつあります。手段の一つとしては、フルファネルデジタルマーケティングになりますが、密接な社内協力の下、一貫したブランドメッセージを消費者に届けるべくキャンペーンをスタートしています。

──2024年に向け見えてきた課題はなんですか。

デジタルアセットとクリエイティブの再構築。常に変化する市場に適応し、より魅力的なコンテンツを創出するためにより潤沢なリソースが必要だと感じました。また、カスタマージャーニーを描くためのタッチポイントの洗い出しはより複雑性を増していると感じます。顧客との接点を深く掘り下げ、より意味のあるパーソナライズされたコミュニケーションを実現する難しさもありました。 オンライン市場での動きを理解して戦略を練り直すためにはデータを活用した分析が不可欠ですが、まだ労力がかかるプロセスが多数存在します。自動化にも課題があり、大量なデータに振り回されない知識と経験も大事だと感じています。

──2024年にチャレンジしたい取り組みを教えてください。

「チャネルレスな消費者体験」を実現するための挑戦の年だと捉えています。オンラインとオフラインの境界をなくし、どこでも一貫したブランド体験を提供することで、顧客との新たな関係を築いていくことがサステナブルな成長につながると考えます。 また、人（タレント）に投資することは、変化の大きいデジタルビジネスにおいてこれ以上大事なことはないのではとも思っています。 ・年末年始企画「IN/OUT 2024」の記事一覧 Edited by DIGIDAY［日本版］編集部