新型ポルシェ・タイカンと親密な関係!? プレミアムEV専用プラットフォームを用いたアウディQ6 e-トロンが登場
欧州では2024年夏から納車開始
輸入車メーカーのなかで、いち早く電気自動車=バッテリーEV(BEV)を日本にも投入してきたアウディは、「Q4 e-トロン」と「Q8 e-トロン」の間を埋めるSUVスタイルのBEV、「Q6 e-トロン」をドイツ本国で発表した。ちなみに、アウディは2027年までにコアとなるセグメントすべてにBEVを導入するとアナウンスしていて、Q6 e-トロンは一角を担う。 【写真68枚】EV化された新型ポルシェ・マカンと同じプラットフォームを使うアウディの新しいSUVスタイルのEV、「Q6 e-トロン」の詳細画像をチェック ◆プラットフォームはポルシェと共同開発 プレミアムDセグメントSUVのQ6 e-トロンは「技術による先進」というブランドスローガンを掲げるアウディの次世代BEV。プラットフォームはBEV専用でポルシェと共同開発したフォルクスワーゲン・グループの「PPE」(Premium Platform Electric=プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)を採用。先日、BEV専用車へと生まれ変わった新型「ポルシェ・マカン」もこのPPEを用いている。 ◆アウディらしさを踏襲 エクステリアは、フロント・マスクにシングルフレームのグリルを備えるなど、アウディの特徴がしっかりと盛り込まれている。前後フェンダーにブリスター風の処理が施されているのも最新のアウディらしい特徴と言えるだろう。ヘッドライトに見える部分は様々な表示パターンを持つデイタイム・ライトで、ヘッドライト自体はそのブラックアウトされた部分に収まっている。ボディ・サイズは全長×全幅×全高=4771×1939×1648mm。2899mmのロング・ホイールベースにより、広々したセカンド・シートの足元空間を確保するという。 アウディらしい未来的なインテリアも見どころ。立体的でハイコントラストなデザインが採用され、前景や背景にエレメントを意図的に配置。デザイン性と人間工学の観点から、乗員に合わせた空間アーキテクチャーが創出されている。具体的には、「MMIパノラマディスプレイ」と「MMIパッセンジャーディスプレイ」が配置され、先進的なだけでなく、鮮明なデジタル画像を映し出せる。 ◆アットホームなインテリア 同時に、アットホームな雰囲気も漂っていて、「ソフトラップ」と呼ばれるトリムは、ドアからコックピット全体を通ってセンターコンソールにまで広がり、乗員を包み込むようなスペース感覚を生み出す。シートにも同じカラーと高品質な素材が使用され、その一部にはリサイクル素材を採用している。 ロング・ホイールベースに加えて、センタートンネルがないことにより、リア・シート中央席の快適性をはじめ、居住性の高さも美点だ。通常時の荷室容量は526リッターで、40:20:40分割式のリア・シートをすべて折りたたむと最大で1529リッターまで拡大。さらに、ボンネット下にも64リッターの収納スペースがあり、小型の旅行バッグなどを収納することができる。 ◆2種類の2モーター4WDからスタート 新型Q6 e-トロン、航続距離や充電関連、電動車両としての走りなど、あらゆる面でベンチマークになるとアウディは自信を示している。 電動パワートレインは、パワフルかつコンパクトで高効率なモーターを搭載。「Q6 e-トロン・クワトロ」は387ps(285kW)のシステム出力を備え、スポーティなパフォーマンスも得られる。さらにシステム出力が最大517ps(380kW)に達するスポーティ・バージョンの「SQ6 e-トロン」も設定。導入時には前記2モデルのような前後に1ずつのモーターを配した4輪駆動バージョンからスタートするが、その後、各市場のニーズに応じて、一充電走行距離を重視したエントリー・モデルの後輪駆動モデルも設定する。 0-100km/h加速はQ6 e-トロン・クワトロが5.9秒、SQ 6 e-トロンが4.3秒でクリア。最高速度は前者が210km/h、後者が230km/hとなっている。また、高効率で航続距離の伸張に寄与する高度な回生システムも搭載。日常走行の制動プロセスの約95%を回生ブレーキが担い、最大220kWのエネルギーを回生できるという。 ◆最大航続距離は625km 800Vテクノロジーを用いた新開発リチウムイオン・タイプの駆動用バッテリーは12のモジュールと180のプリズムセルで構成。最大充電出力は270kW、総容量は100kWh(正味容量94.9kWh)で、最大625kmの航続距離を実現する。 充電は急速充電(High Power Charging:HPC)ステーションを使用するとわずか10分で最大255kmの走行分を充電することが可能。また、約21分で充電レベル(充電率や充電状態を示すSoC)を10%の状態から80%にすることができる。Plug & Charge機能の搭載により、互換性のある充電ステーションに充電ケーブルを差し込むと、ステーションは車両を自動的に認証し、充電が完全に自動で行われる。 さらに、400Vの充電ステーションを使う際は、バンク充電と呼ばれる機能が起動。800Vバッテリーは、自動的に同じ400V電圧の2つのバッテリーに分割され、最大135kWの出力で並列充電できる。充電状態に応じて両バッテリーが同じレベルに達したあとは均等に充電が行われる。また、最大11kWのAC(交流)普通充電に対応しているので、家庭での充電も可能だ。 ◆新開発の電子アーキテクチャーを採用 技術面のもう1つの柱である新開発の電子アーキテクチャー「E3 1.2」により、車両のデジタル化をさらに推進。E3は、エンド・ツー・エンドの電子アーキテクチャー(end-to-end electronic architecture)を意味するそう。 この機能指向のアーキテクチャーは、5台の高性能コンピュータ(HCP:ハイパフォーマンス コンピューティング プラットフォーム)を備えた新しいドメインコンピューター構造に基づいていて、インフォテインメントや運転機能、将来の部分的自動運転まで、すべての車両機能を制御することになる。 ◆見どころ満載のインフォテインメントシステム そのほか、オプションの拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレイやAIを使った自己学習型ボイスアシスタント(Audi Assistant)、インフォテイメントシステムに今回初めて「Android Automotive OS」が搭載されるなど、見どころが満載となっている。 なかでもインフォテイメントシステムでは、「OTA」(over the air=無線)のアップデートにより、コンテンツを常に最新の状態に保つことができる。YouTubeなどのアプリを「MMI」に直接統合されているサードパーティアプリのストアから入手することが可能で、スマホと車両を接続する必要もないなど、多岐にわたって利便性の向上も盛り込まれている。 先進安全装備も充実していて、リア・パーキング・アシスト、クルーズコントロール、車線逸脱ワーニング、エフィシェンシー・アシスト、アクティブ・フロント・アシスト、集中力欠如および眠気警報システムが標準装備される。 ◆技術を飛躍的に進化 アウディAGのゲルノート デルナー取締役会会長は、「新しいPPEプラットフォームをベースに開発されたQ6 e-トロンは、プレミアムな電動車両において技術を飛躍的に進化させたモデルです。PPEは、フォルクスワーゲン グループ内での専門的な知識を結集し、そのスケールメリットを拡大していくことを示しています。PPEにより、さまざまなセグメントで高い技術基準を備えた市販モデルを発売することができるようになり、アウディの電動化をさらに進めることができます」とコメントしている。 日本への導入時期などは現時点では明らかにされていないが、欧州では2024年3月から受注が開始され、デリバリー開始は2024年夏の予定になっている。 文=塚田勝弘 (ENGINE WEBオリジナル)
ENGINE編集部
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