<最高の花道へ―センバツ’22・東洋大姫路>/下 リベンジ誓って団結 強豪と対戦、課題克服の糧に /兵庫
秋季県大会で3位となり、近畿大会への出場を13年ぶりに決めた東洋大姫路。近畿大会での対戦相手は強豪校ばかり。これまで甲子園でのみ着用していた「TOYO」の文字が金の刺しゅうで縁取られたユニホームで臨むことを藤田明彦監督(64)は決めた。「大舞台での試合は最後になるかもしれない」という思いもあった。 初戦の相手は夏の甲子園準優勝校、智弁学園。好機は三回に訪れた。1死二塁、千代凱登選手(2年)が右翼へ適時二塁打を放ち先制。八回には、賀川新太選手(同)の中堅手の頭上を越える適時二塁打で追加点を挙げ、2-0で制した。強打の智弁学園打線に得点圏まで進塁されても、堅い守りで得点を許さなかった。 続く準々決勝では、春夏計8度の甲子園優勝を誇る大阪桐蔭が立ちはだかった。マウンドを任されたエースの森健人投手(同)は、得意とする低めの直球や変化球が相手打者にことごとく打ち返され、本塁打1本と二塁打3本を含む計11安打を浴びた。打線も沈黙し得点を奪うことができず0―5で敗退した。 全国トップクラスのチームとの力の差を実感した選手たち。藤田監督は森投手に「緩急をつけ、腕のしなりを使って、もっとレベルアップしよう」と一層の練習を求めた。「次に大阪桐蔭と対戦した時は必ず勝つ」と決意した岡部虎尉主将(同)は翌日の練習で、チームを鼓舞。センバツ出場の可能性にかけ、個々の力をまだまだ上げようと誓い合った。 まずは体作り。選手たちはこれまで以上に食事やウエートトレーニングに励んだ。森投手は授業の休み時間にもおにぎりなどで補食を取り、満腹の状態を保つようにした。秋に67キロだった体重は70キロ台まで増え、「投球に力を乗せられるようになった」と実感。また、練習ではバットを振る時間を増やし、昼休みにもバッティングマシンで打撃練習に取り組むなど課題の克服に努めている。 1月28日、チームにセンバツ出場決定の吉報が届くと、岡部主将は「監督と1日でも長く野球をします」と宣言した。「集中していこう!」とグラウンドに駆け出す選手たち。藤田監督の最後の花道を少しでも長くしようという思いは一つだ。【後藤奈緒】 〔神戸版〕