"富裕層向け家庭教師"は見た…「将来の夢は?」と聞かれたセレブ小2生が返した"育ちの良すぎる回答"
■“気分”で行動できる範囲が広い 野間氏のような同級生の視点からみれば、セレブジュニアたちの奔放な別の一面がみえてくる。これについて、野間氏はこんな分析をする。 「驚くような経歴を辿る子もいますが、社会の規範を破ったり、誰かに迷惑をかけ続けるような生き方をする人は確かに少ない印象です。学力についての考え方はまちまちですが、どの家庭も総じて、社会と協調して生きていくことを重んじているためかもしれません。今、自分が社会人になってからもそれは感じます。 人間はそれぞれ、そのときの“気分”みたいなもので行動できる範囲が決まっていると思いますが、幼稚園から有名私立に通う家庭に生まれると、それが人よりも少し広いのかもしれないとは最近感じます。 たとえばちょっとした思いつきで行ける範囲が海外だったり、人によっては宇宙だったり。誰しも思いつきでふらっと外に出ることはあるけど、限度ってものがありますからね。良くも悪くも恵まれている環境にいるので、それに気づかずに行動した人もいたのかなとは思います。 ただ、いま僕の周囲にいる仲間は、昔から同じ釜の飯を食ってきた大切な存在で、やっぱり彼らとともに人生を歩めて良かったなと思います」 ■「夢見る子供」ではいられない セレブの家庭で育ったセレブジュニアたち。彼らは幼い頃から手を取り合い、互いをリスペクトすることで絆を深めていく。 一般的な学生は、学力と偏差値によって道をこじ開ける。淘汰されずに残った一握りが立つ高みの“はるかその先”を根城にする彼らは、常に「何をやりたいか」ベースで人生が進む。 潤沢な資金があることはもちろん、周囲の誰に対しても悪い印象を与えず、育ちの良さと性格の良さという最強のカードで人生をわたっていく。一方でセレブの子が判を押したように「素晴らしい子」になることには寂しさも感じる。 人生は何者にもなっていない時期に見る途方もない夢が楽しい。夢見る子どもでいられない者たちの宿命に、お節介ながら一抹の切なさを覚えずにはいられない。 ---------- 黒島 暁生(くろしま・あき) ライター、エッセイスト 可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。 ----------
ライター、エッセイスト 黒島 暁生