ゲーム中毒の夫と別れ、おばといとこの家で始まった新生活。そこで感じた本当の家族、そして新たな恋とは…?【作者に聞く】
ゲーム中毒で課金をやめられない夫と離婚し、おばといとこと暮らし始めた日々を、漫画「離婚したら本当の家族ができました」と続編の「いとこと20歳差婚しました」に描いているあおねろ(@aonero_ocean)さん。今回は漫画を紹介するとともに、あおねろさんにも家族についての思いや、印象に残っているエピソードなどを聞いてみた。 【漫画を読む】重度のゲーム課金、モラハラ、セックスレス…ダメ夫から逃れついた先に真実の愛を見つけ出す ■自分は厄介者だと思っていたけれど...。おばといとこの家で新たな生活がスタート ゲーム中毒の夫との結婚生活に疲弊し、うつ病を発症したあおねろさんは、離婚しておばと20歳年上のいとこ・オサムくんの家で一緒に生活することになった。自分を厄介者だと思うあおねろさんを、おばは家族が増えると喜び、温かく迎え入れる。新しい環境のなかで家族について考え、就職活動をはじめ、少しずつ前へ進んでいくあおねろさん。そしていとこと思いがけない恋も始まることに…。 ■「家族とは本来、心の安定を支える存在」不安定な幼少期を経て感じた家族のこと あおねろさんの両親はすでに亡くなっており、唯一の家族の兄も結婚していて、帰る実家はない状態だった。幼いときは父親が職を転々とした末に引きこもりとなり、両親の関係は悪化、結局父親は家を出て行ってしまうなど、複雑な家庭環境で育ってきた。そんなあおねろさんが、おばといとことの生活で「家族」について感じたことを聞いた。 「家族や家庭というものは本来『安全基地』や『心の拠り所』と呼べるものであることを発見しました。私の育った家庭環境は、不安定な足場に建っている小屋のようなものでした。ですが、おばの家は地盤がしっかりしており、暴風雨で倒れることもないように柱と基礎がしっかりしている『家』としての機能を果たしていました。そこで安心して暮らせる環境が整っていたのです。『家族』とは本来、心の安定を支える存在なのだなと実感しました」 「気にせず休んでいがっせ!」と笑顔で言ってくれたり、雨が降ったら車で迎えに来てくれたり。ささいなことかもしれないが、漫画にはあおねろさんにとっては家族の愛情を感じる瞬間がいくつも登場する。一緒に暮らすなかで、特に思い出に残っていることはあるのだろうか。 「自然豊かな場所で過ごす、のんびりとした日々が印象に残っています。そして、おばやオサムくんが私を『家族』として迎え入れ、無償の愛情を注いでくれたことが思い出深いです。後々戻ってくるもう1人のいとこのホマレくんも、まるで父親のような優しさを与えてくれることがあります。お互い助け合い、補い合って生活していることに、言葉にはしませんが感謝の気持ちが感じられます。たどり着いたのがおばの家で本当によかったと感謝しています」 ■いとこと20歳差で結婚。「予想以上に早く話が進んで驚いたが、とても幸せ」 その後、あおねろさんは介護の仕事に就いたものの、高圧的な上司との関係などに悩む日々が続く。つらいとき、いとこのオサムくんがそばにいてくれたことをきっかけに、次第に2人は恋愛関係に。しかし、いとこであること、20歳年上であったこともあり、関係は秘密で、将来が見通せず悩むことも。あおねろさんに当時の思いを聞いた。 「家庭内恋愛をしていたときは、結婚しなくても一緒に過ごせればそれでいいと思っていました。しかし、ホマレくんが家に戻ってくることになり、環境が変化する事態が起こりました。自分はあくまで間借りしている身ですし、部屋を開けるためにおばの家を出るのがいいと思いました。オサムくんとの関係は秘密のまま終わらせる。それが最善策だと思っていました」 別れを考えていたあおねろさんだったが、事態は急展開し2人は結婚、おばの家を出て2人で住むことに。年齢が離れていることや、いとことの結婚は確かに珍しいかもしれないが、周囲の人々は温かく受け入れてくれたそうだ。 「私が仕事している最中に、オサムくんはおばとホマレくんに、私と結婚することを宣言したんです。こちらの意見も聞かずに(笑)。おばもホマレくんも特に迷ったり反対したりすることはなく、嫁になるのは当然というように承諾してくれました。結婚した今、家族としての一体感と安心を感じられています。予想以上に早く話が進んだことに驚きましたが、結果としてとても幸せです」 自己紹介もかねて今回の漫画を描き始めたというあおねろさん。最初は心身ともに不安定だったが、描くことで元夫やつらかった結婚生活の記憶を整理し、前を向けるようになったのだそう。「いとこと20歳差婚しました」は現在も連載中。最後にあおねろさんに読者へのメッセージをもらった。 「投稿が不定期にも関わらず、フォローして読んで、コメントも残してくださり、ありがとうございます。いずれはエンディングを迎える物語ですが、最後までお付き合いいただければうれしいです。このコミックエッセイに気づいて読んでくださったことに感謝しています。また、漫画や創作活動から離れようとしたとき、『描くことをやめないで!』と励ましてくれた親友がいてくれたおかげでここまで来られました。『いとこと20歳差婚しました』を描く側と読む側で一緒にゴールインできればと思います」 これからも、あおねろさんの漫画を楽しみにしたい。 取材・文=松原明子