日比谷公園が再開発で激変する…都民の多くが知らない、その「裏事情」と小池都知事の「皮肉」
緑の小池都知事が、東京の緑を消していく
神宮内苑の木々は、当時の最新の知見に基づいて設計・植樹された。150年かかる目論見だったところが、想定以上にうまく育ち、100年で現在の大きさにまで成長した。原生林だと誤解する人もいるほどである。「和」を表す内苑、「洋」を表す外苑と、対となるコンセプトで設計された景観は、先人たちが遺した都民の共有財産だ。 神宮の再開発に対しては2023年9月にはユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)から、神宮外苑に対して「ヘリテージ・アラート」が出されている。危機に瀕す文化遺産に対し、保存を求める声明だ。ぜひ木を切る前に計画を見直すべきだろう。切ってしまったものを戻すことはできない。 東京都が三井不動産と癒着して進めていることは、100年先を見すえたまちづくりなのか。後世に残すべき「共有財産=パブリックなもの」を、プライベートな私企業や私人の利益とひきかえに破壊して、商業的ビル群をそこに建てることが、国際都市としての正しい選択だとは思えない。 環境大臣だったときの名残で「グリーン」を自身のイメージカラーとして使い続け、2024年7月の都知事選で3選を果たした小池百合子が、着々と東京のグリーンを減らしていくのはなんとも皮肉なことである。
藤井 セイラ(編集者・エッセイスト)