新作推理ADV『ミステリーの歩き方』発表。『Fit Boxing』世界的大ヒットをきっかけに『メダロット』のイマジニアが家庭用ゲームに本格カムバック【澄岡社長インタビュー】
イマジニアとトイボックスより、2024年12月12日発売予定の完全新作タイトル『ミステリーの歩き方』が発表された。対応プラットフォームはNintendo Switch。 【記事の画像(15枚)を見る】 本作は過去と現在を行き来しながら、30年前の未解決事件を調査していくミステリーアドベンチャー。『Fit Boxing』などで知られるイマジニアが開発会社トイボックスと組み作り上げる新機軸のタイトルで、プロローグ+全10話+αで構成された連続ドラマ仕立てで物語が進んでいく。 現代パートは、美麗なイラストで描かれた世界を舞台に人気声優によるフルボイスで展開。過去パートは少し変わったドット絵で表現されており、昔ながらのコマンド選択式アドベンチャーとなっている。 本稿では、イマジニア澄岡和憲社長へのインタビューをお届け。本作の開発経緯や現状の完成度、今後のゲーム事業などについて訊いた。 (聞き手:ファミ通グループ代表 林克彦) 澄岡和憲 氏(すみおか かずのり): イマジニア代表取締役社長兼CEO。大学卒業後、新卒でイマジニアに入社。2003年に役員になり、2006年には社長に就任。2016年、子会社であるロケットカンパニーを吸収合併し、コンシューマーゲーム事業を管轄。文中は澄岡。 開発のきっかけは『Fit Boxing』が大ヒットしたこと。澄岡社長が自ら60000字のシナリオを執筆 ――イマジニアといえば最近は『Fit Boxing』のヒットが記憶に新しいですが、本作『ミステリーの歩き方』は、しばらくぶりのスポーツ系以外のソフト、ゲームらしいゲームという作品になりますね。: 澄岡 :少し背景事情から説明しますと、イマジニアは、かつてはゲームボーイ向けの『メダロット』シリーズやニンテンドウ 64の『超空間ナイター プロ野球キング』など多くのタイトルを家庭用ゲーム機に向けて発売していました。ですが、しばらくのあいだ家庭用ゲーム機向けタイトルの開発からは離れた時期があったんですね。 そして、久しぶりの家庭用ゲーム機向けタイトルとなった、初代『Fit Boxing』(2018年/Nintendo Switch)が販売本数100万本を超えるヒットとなりました。 ――久しぶりに出したゲームがミリオンセールというのはすごいですよね。『Fit Boxing』はいまどれぐらい広まっているんでしょうか? 澄岡 : 『Fit Boxing』シリーズは1と2を出した後に、キャラクターとコラボした『Fit Boxing 北斗の拳』、『Fit Boxing feat. 初音ミク』、さらに派生で、ダンスを踊れるようになる『HOP! STEP! DANCE!』を出しているんですけど、おかげさまでシリーズ世界累計290万本ぐらい販売しています。そして、2024年12月には『Fit Boxing 3』が発売予定となっています 海外では『Fitness Boxing』という名前で発売しているんですけど、北米、ヨーロッパ、それからアジア圏でも比較的プレイしていただいてる方が多いなっていう印象を持っています。トータルの販売本数では海外のほうが高いかなと思います。 ――ちゃんとグローバルで評価されてるんですね。 澄岡 : そうですね。日本のゲームだったり、アニメやマンガ、エンタメって世界で戦っているコンテンツだと思うので、そういう中で日本のゲームすごいぞっていうところを世界にアピールしていきたい気持ちは海外との仕事が増えるほど思いますね。そういう意味では、今回の『Fitness Boxing』は世界の皆さんがたくさん遊んでくれてうれしかったです。 ――では、話を『ミステリーの歩き方』に戻しまして、改めて本作の企画経緯を教えてください。 澄岡 : 『Fit Boxing』の開発と販売を通じて、ゲーム業界の技術は相当進化しているなと感じたんです。ただ、お客様におもしろいと思ってもらえるゲームを作る気持ちがまず大事なことは、昔と変わってないなとも実感しました。 そこで、私自身はちょっと業界から少し離れてしまっていたのですけど、子会社で長くゲーム事業を続けてくれていたメンバーを中心に、外部からも新しい仲間も入れてイマジニアとして創業時の事業である家庭用ゲーム機向けのタイトルでもう一度本腰を入れて勝負してみたいという気持ちになりました。これが最初のきっかけです。 ――澄岡さんの気持ちが強かったんですね。 澄岡 :はい、強かったです。 最近、イマジニアで仕事をしている人には「家庭用ゲームは子会社が担当する事業なんじゃないの?」みたいな空気感があったんです。ですから「いや、イマジニアにとってゲーム事業は大事だぞ」と改めて認識してもらうためにも、自分が先頭に立って進めることに決めたんです。 Nintendo Switchで『Fit Boxing』をこんなに評価していただいたのはチャンスだな、もう一回戦ってみたいなという風に思えましたね。 ただ、そうは言ってもこの業界で戦っていくためには、やはりいいゲームを作れる体制がなければダメなんです。たとえば、大手企業はヒット作をちゃんと持っていてその続編を出しつつ、そのうえで新しい作品に挑戦するという体制づくりをしています。うちも『Fit Boxing』はいいんですけど、それ以外の新しい企画でヒット作を作らないとやっぱダメだよね、と考えています。 そこで、会社としてもう一回家庭用ゲーム機向けタイトルを強くしていくために、全社員を対象に、企画の募集を行ったんです。もちろん強制ではないですよ(笑)。すると、(開発ではない)管理部門の方が企画をいろいろ出してくれたりとか、多くの方から企画が出てきたんです。やっぱり社内にゲーム好きな人がたくさんいるんだなと実感できて、とてもうれしかったですね。 社員数が少ないので、「この仕事やらされるのかな、社長に直で命令されて仕事させられるのかな」ってビビっていた人もたぶんいたと思うんですけどね(笑)。 ――社内公募、社内コンペで企画を募集されたんですね。 澄岡 :そうなんです。自分もゲームが好きですから、この社内公募に応募したんです(笑)。ただ、“圧”のようになってしまうとよくないので、私は企画の選考に関わらず、外部の方にフラットに見てもらいました。 ――その結果はどうだったのですか? 澄岡 :若干言いにくいのですが、私の企画が「いいんじゃない?」ということで選ばれてしまいまして。 ――つまりこの『ミステリーの歩き方』は……。 澄岡 :はい、私が出した企画です。 ――この『ミステリーの歩き方』の企画書を作ったのは澄岡さんで、忖度なく外部の方が選出したのがそれだったと。: 澄岡 :はい、たまたまそれがいいんじゃないかと言われました。 でも、「アドベンチャー作品ってシナリオが大事だし、作るとなるとたいへんだと思いますけどね」とかいろいろ言われたので、私もシナリオ制作の経験はありませんから、誰かといっしょにやらないと完成できないなと思い、そこから協力してくれる方を探し始めました。 ただ、イマジニアは家庭用ゲーム機向け作品の開発からしばらく離れていたので、いろいろなパートナー会社も開拓中という時期だったんですよ。 自分に経験はない、だけどすぐに協力会社は見つからない、という状況でしばらくいたのですが、じゃあわかったと、いまできることは何だと思い、「書いたことないけど、自分で書いちゃおう」という心境にいたりまして、まずはシナリオを12000文字ぐらい書いてみました。 ――試しに書いてみたにしてはなかなかの文字数ですね。(※この原稿は約10000字) 澄岡 :そうしたら、「もうちょっと女の子がいたほうがいいんじゃない?」とか言われて、足していったら16000文字ぐらいになっちゃったんですよ(笑)。 最初は舞台を東京メインで書いてたんですけど、「東京ではあまり盛り上がらないと思うんですよね。たとえばリゾート地……軽井沢とかどうですか?」という意見が出てきて、そこでもう1回ゼロから60000文字ぐらいまで書きました。 ――急に増えましたね! 澄岡 :私はゲームを作りたいだけで別に才能もあるわけではないし、クリエイターでもないし、ちゃんとプロの人に書いてほしいんですって散々お願いしたんですけど(笑)。 結果、「この60000字は全部ボツにされてリライトになってもかまいませんから作ってください」と言いながら、実際にトイボックスさんと作ることになりました。 ――じゃあ、シナリオ原案は澄岡さんの名前がちゃんと入っているんですか? 澄岡 :私が書いた部分は1%ぐらいしか残ってないので、クレジットは入ってはいないと思います(笑)。 ――残念(笑)。でも、その60000文字がベースになって、今回の『ミステリーの歩き方』の舞台設定とかに活かされているんですよね。 澄岡 :少しだけ活かされているぐらいで、そんな偉そうなことはとても言う身分ではないですから(笑)。 ――今回のゲームに対する澄岡さんの立ち位置はプロデューサーということになりますか? 澄岡 :そうなんですよ。ふだんは“エグゼクティブプロデューサー”って、みんなから気を遣って書いてもらうんですけど、今回は少し現場に近い“プロデューサー”という肩書きをいただいているので真面目に仕事しております。あ、いや、いつもしているんですけど。 ――昨今、ご自分でそこまでゲーム制作にどっぷり関わることって、なかなかないですよね。 澄岡 :そうですね。なかなかないので新鮮です。とは言っても、クリエイティブな部分はトイボックスさんのほうにお任せしていますね。ただ、作ってもらいつつ、我々はプロモーションをがんばりたいなと思っています。 過去と現在を行き来するドラマ形式のミステリーアドベンチャー ――『ミステリーの歩き方』について、改めて、ジャンルや設定などを説明してもらえますか。: 澄岡 :“連続ドラマ×ミステリーアドベンチャー”というジャンルで、連続ドラマ仕立てのミステリーアドベンチャーの完全新作タイトルです。 大学で心理学専攻のゼミに所属している主人公たちが、30年前の未解決事件を調査していくという入りになります。ですが、じつは主人公たちがそれぞれ秘密を抱えていて、事件を調査していく中で次第にそれが明らかになっていく……という作りになってます。 ゲームとして、事件の真相を調査していくのが主軸ですが、連続ドラマ仕立てで話が進むにつれ、何気ない会話の中で登場人物たちの胸の内が少しずつわかっていくようになっていきます。 事件の謎がだんだん深まっていって、彼らの抱える秘密や考えかたの違いがプレイしていると気になってくると思います。それが、どう展開して明らかになってくのかという点も、主軸の事件解決とは異なる魅力になるように作ってみました。 なので、ゲームとして参加していながら、一部ドラマを見ているような感覚も楽しめるんじゃないかなと思います。臨場感を出すためにも、メインとなる現代パートはフルボイスで用意していますので。 ――なるほど。ゲームとしては基本一話完結型で進んでいくけど一方で中盤、後半になってくるとまた別の大きい謎だったり、登場人物の秘密が明らかになっていく感じなんですね。 澄岡 :そういう感じに作ってみました。 ――現代パートはフルボイスなのですね。そのほかにもゲームの特徴や魅力について教えてください。: 澄岡 :くり返しになりますが本当のドラマのような仕立てになっているのがひとつの特徴です。 まずはアバンタイトルがあって、オープニングがあって、本編が始まって、その章をクリアーしたらエンディングがあって、最後に次回予告もある…といった風に展開します。 それから、これも謎のひとつなのですが、主人公がなぜか過去視の能力を持っています。自由に過去を見られるわけではないのですが、限られた時間、過去を見られるんですね。 現代のパートでは、美しい色彩の背景で、物語を中心に、物を探したり会話の中で選択肢を選んで話が進みます。ですが、ある時点で視点は過去へ戻り、主人公だけが30年前に起きた事件の真実を知ります。 ただし、現在に戻ってきた主人公は過去視の能力を隠しているので、それをそのまま言うわけにはいかないんです。そこでじょうずに選択肢を選びながら事件関係者の関心を真実に向けさせていくという流れです。 過去のパートでは、30年前の雰囲気を出すために画面がドット絵テイストに変わります。昔のアドベンチャーゲームに多かった、コマンド選択式で物語を進める仕組みにしているんですよ。現代ではすごく綺麗な画面でフルボイスなんですが、過去に飛ぶとドット絵にコマンド選択という、昔ながらの雰囲気を組み合わせて作っています。 ――なるほど。過去になるとゲームシステムも変わるんですね。そのあたりのシステムも澄岡さん考えられたんですか?: 澄岡 :いえ、これはトイボックスさんが考えてくれました。 最初は、私もコマンド選択式アドベンチャーが好きなので、それでいいんじゃないかなと言ったのですが、「いまの時代っぽくないんじゃないか」という意見が出ました。 そこから、一生懸命考えてくれた末、コマンド選択式アドベンチャーのよさもありつつ、現代パートでは現代風なゲーム体験が味わえるという、ひと粒で二度おいしいアイデアを出してくれたのかなと思っています。 ――過去と現代を行き来しながら謎を解いていくということですね。アドベンチャーゲーム制作では悩みどころかなと思いますが、プレイヤーの行き詰まり対策についてはどのようにしてるんでしょうか。 澄岡 :コマンド選択式って、昔は答えがわからないととりあえずすべてのコマンドを試してみる、総当たり式で遊んでいたじゃないですか。そこを悩むのもおもしろさだと思うんですが、行き詰まってしまうとめんどくさく感じる方もいると思います。 現代のゲームとしてそのあたりをどうするかについてはすごく悩みました。今回はドラマ仕立てにしていることもあり、比較的進行に行き詰まることなく物語が進められるようにしています。いろいろ推理するシーンはありますが、間違っていてもストーリーは進むんですよ。 また、主人公たちは研究課題として現地に来ているので、大学生らしく各話ごとに採点表が出ます。SとかAのような評価が出るようになっていて、それらがすべていい結果になれば後でいいことあるかもみたいな構造で後からやり直すこともできます。 ――なるほど。推理が100%正しくなくても進むけど、後で「あの推理は間違ってたんだな」ということもプレイヤーはわかるようになっているんですね。1話あたりのプレイ時間はどれくらいになるんですか? 澄岡 :1話あたり、大体1時間ぐらいになるんじゃないかというイメージで作っています。 ミス研の大学生が事件を調査 ――舞台設定やキャラクターなどについても教えてください。: 澄岡 :舞台は避暑地として有名な“ナルミ沢”という架空の街を舞台にしています。調査に当たるのは帝都大学に通う大学生。ゼミの先生がめちゃくちゃ優秀な犯罪心理学の准教授なんです。そこで、研究課題として過去の未解決事件がどのような経緯で起きたのかを探る課題が出て、“ミステリー研究会”という名のもとに事件を追っていくことになります。 研究会のメンバー4名を中心にお話が進んでいき、途中でなぜか主人公のことを心配した妹が合宿まで追い掛けてきたり、なぜか付きまとってくる刑事がいたり、なぜか独自に事件を調査している人がいたり、当時起きた未解決事件に関わった家族の皆さんだったりさまざまな方々が登場します。 キャラクターについては、いまの段階では3名ぐらいしか発表していませんが、主人公は米内佑希さんに担当していただいています。それから非常にクレバーで推理をリードしていくようなヒロインは石川由依さんです。 澄岡 :今後も順次声優の皆さんを発表予定で、ちょっと変わった人物も声優として登場予定ですので、ぜひ楽しみにしていただければと思います! ――本作はいわゆるアドベンチャーゲームになると思いますが、どういった方に遊んでほしいか、アプローチしたいユーザー層というのはどのような方を想定されていますか? 澄岡 :先ほど簡単な仕組みをお話しましたけど、 コレクション要素も入れ込んでいますので、ゲームをよくやる方はもちろん、アドベンチャーゲームが好きな方だったり、連続ドラマ好きだよっていうような方だったり。ミステリー好きな方々にはプレイしていただきたいなと思います。 合わせて、最近はゲームしてないけど昔の人気アドベンチャーゲームを遊んでいた方にも楽しんでもらえるんじゃないかなと思いますので、その辺の皆様に遊んでいただきたいです。 ――開発はトイボックス、ディレクターは金沢十三男氏がやられるということで。 澄岡 :金沢十三男さんは、マーベラスさんで多数のゲームを作られていた方で、ミステリー系を非常に得意とされています。昔は赤川次郎先生と作品を作っていたり、最近だと少し恋愛の要素もありましたけれど『ワールドエンド・シンドローム』(※)に携わっていたりするんですよね。 ※……アークシステムワークスより2018年8月30日に発売されたアドベンチャーゲーム。 現在はトイボックスさんに所属していらっしゃいますが、非常に柔軟性が高く、テキストが展開されるアドベンチャーゲームのクリエイターとして長けている方なんじゃないかなと感じています。 ――ちなみに、さきほどのお話の社内で企画コンペを行い、実際に開発が始まったのはどれぐらい前の話なんですか? 澄岡 :2~3年ぐらい前かな。コロナの最中なので2年以上前だと思います。 ――では、開発は予定通りに進んでいる感じなんですね。 澄岡 :そうですね。ただ、本当に金沢さんが素敵な方で「もっとこうしたらよくなるんじゃないか」、「ああしたらよくなるんじゃないか」という話でどんどん長引いて、当初の予定よりちょっと伸びてるかなって感じは否めないんですけど(笑)。 でも、いいものができたときが発売日だと思いますので、楽しく作らせていただいています。 追加コンテンツは検討中。海外展開はまだ考えていない ――ちなみに発売後、追加コンテンツで何らかの要素が足されるみたいなこともあるんですかね?: 澄岡 :現段階で決まっているわけではないですが、世界観をけっこう大事に作っているゲームなので、いろいろとその余韻を楽しめるような追加コンテンツを作りたいねと、いま議論中です。 ――では、改めて現状のゲーム完成度と発売日について教えてください。 澄岡 :いま、完成度的にはもう9割ぐらいできているかなという感じです。物語なのでエンディングの部分にどう厚みを持たせるのか、どう盛り上げられるのかをブラッシュアップ中なので、そこが出来上がればもう完成というところまで近づいてきていると思います。 発売日は2024年12月12日を予定していますので、そこにしっかり間に合うように準備したいなと。合わせて、シンプルなものですがキャラクター設定資料を予約特典として用意しようと思っています。 ――昨今、発表から発売ってどんどん短いスパンになってますけど、10月頭にタイトル発表ってけっこう垂直立ち上げで突っ走るみたいな感じですよね。 澄岡 :そんな感じはちょっとあります。私が担当のせいなんじゃないかっていうのもありますけど、メンバーも少ないので発表がちょっと遅くなってしまいました。 ――なるほど。プラットフォームのハードはNintendo Switchのみですか? 澄岡 :はい、Nintendo Switchオンリーでいこうと思っています。 ――海外展開の予定は? 澄岡 :海外については、ちょっと後で考えようかなと思っていますね。 ――まずは、日本のSwitchユーザーしか遊べないゲームになるということですね。 澄岡 :確かに、皆さんいろいろマルチで出されてますけど、久々にゲーム業界に戻ってきて限られた人数でやってるところもありますので、まずはしっかりSwitchで売れるものを作ろう、評価されるものを作ろうということでSwitchだけで準備することにしました。 最初から3部作構想で作成。2作目、3作目では登場人物のその後を描く ――まずは本作に挑戦してみてユーザーの評価など、いろいろな面から次回作を考えるみたいなことなんですかね。それとも、最初からもうシリーズで続けていこうみたいな構想があるんでしょうか?: 澄岡 :今回は、最初から3部作構想で作っています。 もちろん、1本目が売れたから続編作ろうかっていう考えかたもあると思いますが、ある程度構想があって最初の初期設定から作っていったほうがお話として完成度が高くなるんじゃないかなと思っていまして。 最初は1本で作ろうと思っていたんですけど、いろいろ話し合っているうちに、これ3本ぐらいで作ったほうがおもしろくなるんじゃないのかなっていう話がだんだん出てきて、せっかく力を入れてやるのであればそうしようという話になりました。 ただ、3部作だとこの1本がおもしろくないとつぎはないから、この1本できっちりいいもの作ろうと。作ったうえで2部、3部は構想ができているので、早めに皆さんにお届けできるようにしたいです。また、1作目が終わったときに何かしら皆さんからのご意見があればそれも2作目、3作目に反映していきたいですね。 ――もちろん、今回の1作目『ミステリーの歩き方』もしっかりと事件解決はするということですね。そのうえで、2作目を遊んだときに1作目を遊んでるからこその楽しさがあると。 澄岡 :やっぱり、今回の事件をどう解決していくかという部分に加えて、登場人物にもけっこうフィーチャーしていくので、その登場人物たちが1作目を終えて、つぎどうするんだろうっていうところに関心が残るようにしたいなと思っています。第1作目はゴールデンウィークなんですけど、第2作目は夏の設定を予定しているので、登場人物の皆さんが3ヶ月後ぐらいにどうなっているのかというような構想をしています。 ――じゃあ、第1作目が世に出た後で継続してつぎのタイトルにも着手していくことになるのですね。 澄岡 :そのつもりでいますが、追加ダウンロードコンテンツを作るか作らないかの議論もあったので、早めに続編を出すか1作目をしっかり楽しんでもらった後に出すのかで若干揺れている感じです。 とはいえ、やっぱりお客様に楽しんでいただくことがいちばんなので、いい企画をまとめてから追加ダウンロードをやったほうがいいのかなって現状は思ってますね。 ――ゲームって、昔よりも開発費が増えていて、1本作るのに何億円、何十億円って平気でかかる時代じゃないですか。当然、1作目のベースがあるとはいえ、2作目、3作目もそれぞれのバジェット(予算)が必要ですし。トータルするとかなり大きな事業になると思うんですけど、それはある意味イマジニアが本気でこの領域をもっと強くするという想いがあるということですかね?: 澄岡 : その通りです。『ミステリーの歩き方』はとりあえず3部作ですけど、もしこれがうまくいくようであればさらに家庭用ゲーム機向けタイトル開発に力を入れてやっていきたいです。 ただ、「これぐらいの期間、予算で作ったらこのくらい売れて、これぐらい儲かるだろう」みたいなことが先行しちゃうとなかなかゲームっておもしろくならなんですよ。 もちろん私も予算や会社には責任を持っていますけど、まずはきちんとおもしいろものを作るということが大切。社長が道楽でやってるんじゃないぞ、ちゃんとやるんだぞって空気を、私自身から出しながらやっていきたいなと思ってます。 ――『ミステリーの歩き方』がうまくいって、また新しい柱になったら違うジャンルだったり、新しいタイトルにもチャレンジできるかもしれないですね。 澄岡 : そうですね。『ミステリーの歩き方』だけでは必ずヒットするとは限らないので、みんなが出してくれたアイデアからすでに何本か新しいものを作っております。 当社は『Fit Boxing』とか教育系、あとキャラクタービジネスを得意としているのでその辺はもちろんやるんですけど、いわゆるゲームらしいところで他社とは違う切り口で新しいものに挑戦していきたいなと思ってますね。 ――ちなみに、スマホ事業はこの後どういう風に展開していくんですか? 澄岡 : スマホゲームのほうは、いま当社だけではなく子会社がひとつあって、そこに開発陣がいるのでスマホゲームは継続的に新作を出していこうと思っています。『すみっコぐらし』や『メダロット』など、キャラクターを活かした方向性のものを中心にしようかなと現状では考えていますね。 ただ、みんなから新しいアイデアが出てきたら、それはそれでまた考えていきたいです。スマホのほうも新作を準備していますので早く発表したいですね。 ――最後に、今回の『ミステリーの歩き方』を中心に今後のゲーム事業についての目標や、ゲームファンの皆さんへのメッセージをお願いします。 澄岡 :先ほども申し上げましたけど、世界に通用するようなゲームやコンテンツを作って、世界にアピールしていきたいなと思っています。ゲーム会社って、やっぱりゲームファンの皆様があって成り立っていると思いますし、本当にいつも熱量を持って遊んでくださってありがとうございます! 昭和の時代にファミコンソフトから起業した会社、そのイマジニアが新しい形でゲーム作りに挑戦していきますので、その辺をぜひ注目していただけたらうれしいです。これからも張り切ってやっていきますので、ぜひともよろしくお願いします!