休井美郷「子宮頸がん」半年遅ければ危険な状態に。初期症状ゼロの闇
休井美郷「子宮頸がん」半年遅ければ危険な状態に。初期症状ゼロの闇
特に体調に不安がないと、なかなか病院に行こうとは思いませんよね。今回お話を伺った休井美郷さんもそんな一人でした。ですが、6年ぶりに受けた子宮頸がん検診で異常が見つかって衝撃を受けたそうです。自覚症状のないまま進行する病気はいくつかありますが、子宮頸がんもそのひとつ。今回、普段はなかなか聞きづらい婦人科での検診や子宮頸がんの治療方法、HPVワクチンのことなど、経験者である休井さんと産婦人科医である稲葉先生にじっくりお話しいただきました。 【写真】休井美郷「HPVワクチン接種したくなった」
「まさか私が、がんなんて」症状ゼロで信じられない診断結果に
稲葉先生: 現在の体調はいかがですか? 休井さん: 本当に病気だったのかと思うくらい元気です。 稲葉先生: 病気に気づいたきっかけは何でしたか? 休井さん: 人間ドックのお仕事で、検診は痛いイメージがあり一度断ったのですが、その時期にたまたま体調不良が続いていたので検診を受けました。そうしたら、そこで見つかりました。 稲葉先生: 検診結果を見たときはどんな気持ちでしたか? 休井さん: 悲しいというよりもビックリしました。衝撃が大きすぎて信じられない気持ちでした。 稲葉先生: 検診の結果にはなんと書かれていたのですか? 休井さん: 「高度異形成」と書かれていて、ウイルスの名前や型も書いてありました。これはやばいと思いましたが、同時にもう一回検査を受けたら大丈夫なんじゃないかとも思いましたね。なかなか受け入れられない心境でした。 稲葉先生: 人間ドックの結果が高度異形成で、その後病院で生検したら、上皮内がんだったのですね。 休井さん: 見つけるのがもう少し遅ければ、がんになっていたと先生に言われました。あと半年遅ければやばかったみたいです。 稲葉先生: がんになる前に検診を受けることができ良かったですね。上皮内がんは子宮頸がんのごく初期の段階で、ほとんどの方が自覚症状がないんです。 休井さん: 私は不正出血が少しありました。 稲葉先生: その不正出血が上皮内がんによる症状かどうかは分からないですが、顕微鏡で見ないと病気の発見はできないので、症状があるかどうかにかかわらず検診が大切です。そのまま放置すると、20~30代でも命を落としかねないのが子宮頸がんです。 休井さん: もともと低用量ピルを飲んでいて、ピルを飲んでいる間は全く不正出血はありませんでした。検査した頃もピルを飲んでいたのに、不正出血があったので疑問に思いました。 稲葉先生: 問題ない不正出血かどうかは、診察してみないと分かりません。不正出血があっても様子を見てしまい、しばらくしてから受診したら、すでに子宮頸がんだったというケースもあるので、ちょっとした不正出血でもまずは受診してほしいです。 休井さん: あの時人間ドックのお仕事がなければ、私も検査していなかったかもしれません。身内や友達にかかった人がいないので、婦人科の病気は、本当は身近な病気なのに遠いものに感じていました。母も祖母も女性特有の病気になったことはなく、うちには遺伝がないと安心していましたね。 稲葉先生: 子宮頸がんは遺伝ではなく、そのほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。性交渉で感染するウイルスですが、いわゆる性病ではありません。 8割くらいの方が持っている、ありふれたウイルスなのでHPVに感染していることは珍しいことでも、恥ずかしいことでもありません。異常が出るのは1割くらいの方で進行する場合と自然治癒する場合があります。唯一、進行するリスクを高める原因として知られているのが喫煙です。 休井さん: 喫煙が影響するのは知りませんでした。 稲葉先生: 通常は数年から数十年かけてゆっくりと進行することが多い病気なので、2年ごとの子宮頸がん検診が推奨されています。2年ごとに受けていただければ、異形成のどこかの段階で発見できることが多いですね。 休井さん: 定期的な子宮頸がん検診は大事ですね。 稲葉先生: 子宮頸がんが一番多いのは20代後半~40代で結婚や妊娠を考える年代にかぶります。子宮頸がんが進行した状態で見つかると、子宮や卵巣を取らなければいけなくなることもあります。さらにリンパ節まで取ることになると、リンパ浮腫といって足の太さが2~3倍くらいに膨張する後遺症が残ってしまうこともあります。 休井さん: 早期治療が本当に重要ですね。 稲葉先生: 高度異形成も上皮内がんも治療としては同じですが、定期的に検診を受けて軽度異形成や中程度異形成の段階で見つけることができれば、そこからもし進行するとしてもがんになる手前で気づくことができるので、とにかく検診を受けてほしいですね。