もしも993型「911」をポルシェがいまなお作っていたら…がコンセプト! 勝手に作ったリマスターモデルが2億円近い価格で落札! 人気の秘密は?
生産台数は25台のみの特別なモデル
2024年8月15日~17日にRMサザビーズがアメリカ・モントレーで開催したオークションにおいてポルシェ「911 スピードスター リマスター byグンター・ヴェルクス」が出品されました。シャシーナンバー「992」を持つ同車は走行距離わずか93マイル(約149km)と、そのコンディションは新車に近い1台でした。 【画像】特別なオーダーメイドを受けた1台! ポルシェ「911 スピードスター リマスター byグンター・ヴェルクス」を見る(全78枚)
もしも993型911が今でも販売されていたら……を具現化
1993年から1998年にかけてポルシェが生産した4代目の「911」。すなわち993型の911は、ポルシェのファンにとっては特別な存在ともいえる。それはこのモデルが最後の空冷式水平対向6気筒エンジンを搭載する911となったことに大きな理由があり、同時に空冷ポルシェのカスタムモデルの製作に専念する多くの新たな二次産業の基盤を築くモデルでもあった。もちろん993型911の人気は現在でも衰えるところを知らず、カーイベントやソーシャルメディアで多くのファンを魅了している。 その993型911の究極的なカスタムモデルともいえる作品が、RMサザビーズのモントレー・オークションに出品された。それを製作したのはすでに世界的な知名度を持つ、アメリカ・カリフォルニア州ハンティントンビーチのグンター・ヴェルクス社。彼らの「リマスター」911は、仮にポルシェが1998年に993型911の生産を終了していなかったら、今日ポルシェが生産していただろうモデルをイメージして構想されたものであるという。 同社の緻密なエンジニアリングと製造技術を高く評価したRMサザビーズは、その予想落札価格に97万5000ドル~110万ドル(邦貨換算約1億4260万円~1億6089万円)という驚異的なエスティメート(推定落札価格)を設定。はたしてその落札価格がどこまで伸びるのかに大きな注目が集まった。
排気量は4リッター化され、最高出力は430馬力以上
グンター・ヴェルクスの仕事は、誰をも圧倒するほどの量のカーボンファイバー素材の採用から始まった。多数のボディ外板パネルと内部部品の多くが軽量複合材に交換され、カーボンファイバーの外骨格を支えるため、グンター・ヴェルクスは特注のDCRコンピューター制御アクティブ・コイルオーバー・サスペンション、ジオメトリーを修正した特注のサスペンションアーム、改良型のアンチロールバー、軽量アップライト、フロントストラットブレース、油圧式のフロントリフトシステムを組み合わせた、強力なサスペンションキットを開発した。 リアに搭載されるエンジンは、オレゴン州シャーウッドのロートスポーツ・ロード・アンド・レース社で鍛造内部部品やレース仕様の機器を数多く採用した4L仕様へと排気量アップされる。2段階のMoTecエンジン・マネージメントシステム、個別のスロットルボディ、マーレー製のピストン、コイルオーバープラグ点火、ビレット・クランクシャフト、ロッド、バレルなどが、その主要なチューニングメニュー。それによって最高出力は430ps以上を達成することが可能になった。
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