阪神・ノイジーは意外性の男から脱却できるか 「バースの助言」がヒントに
「予測が難しい選手」
ハイレベルなレギュラー争いが、チーム力の底上げにつながる。阪神で外野のレギュラーが確約されているのは中堅・近本光司のみだ。右翼は2年目の森下翔太が開幕からスタメン起用されていたが打率1割台と確実性を欠いたため、4月7日のヤクルト戦(神宮)は、前川右京が右翼、シェルドン・ノイジーが左翼でスタメン起用された。 【選手データ】シェルドン・ノイジー プロフィール・通算成績・試合速報 来日2年目のノイジーは評価が難しい選手だ。まったくタイミングが合っていないと思いきや、目の覚めるような一撃を放つ。ただ、今年は打席での確実性が高まっているように感じられる。5日のヤクルト戦(神宮)では、2回にサイスニードのカーブをすくい上げて左翼席に運ぶ今季初アーチの先制2ラン。打つだけでなく、走塁でも積極果敢に次の塁を狙う。7日の同戦では、1点差を追いかける6回一死の場面に四球で出塁すると、佐藤輝明の打席で盗塁成功した。だが、今季初の三番でスタメン起用された11日の広島戦(甲子園)は4打数無安打に終わり、チームも今季3度目の完封負け。借金2と乗り切れない。 他球団の首脳陣は、ノイジーをこう分析する。 「甘い球を打ち上げたと思いきや、難しい球をスタンドに運ぶ。予測が難しい選手ですね。低めの変化球を打つのはうまいですね。昨年は日米のストライクゾーンの違いに苦労していたように感じたが、来日2年目で不安が解消されてきていると思います。短期決戦のようなパフォーマンスを持続できたら、打率.280、20本塁打はクリアできる。勢いに乗らせたくないですね」
日本シリーズで優秀選手賞
来日1年目の昨季は133試合出場で、打率.240、9本塁打、56打点。この成績だけを見ると物足りなく感じるが、短期決戦では勝負強さが光った。広島と対戦したCSファイナルステージ第3戦(甲子園)では1点差を追いかける4回二死一、二塁で右前に運ぶ同点適時打。オリックスと対戦した日本シリーズでは第6戦(京セラドーム)で2回に山本由伸(現ドジャース)の156キロ直球を右翼席へ叩き込み、第7戦でも0対0の4回一死一、二塁の好機で宮城大弥の内角低めのチェンジアップを左翼席に運ぶ先制3ラン。日本一に導く決勝打で日本シリーズの優秀選手賞に選ばれた。 短期決戦の活躍に加え、守備や走塁でも全力を尽くす姿が契約延長の決め手になった。左翼の守備で12補殺はリーグトップ。助っ人外国人が来日1年目から活躍するケースが少なくなっている中、ノイジーは日本野球に慣れた来日2年目で覚醒が期待される。