デパートの入り口などにある「ぬれた傘」をしまうためのビニール袋。「使用済み」を再利用するのはNG?
雨の日に傘を持って買い物に出掛けた際、デパートや商業施設の入り口で配られる、ぬれた傘をしまうためのビニール袋を利用する場面も多いでしょう。 しかし、環境保護の観点から「使用済みのビニール袋を再利用する」という方もいるようです。本記事では、傘を入れるビニール袋と環境の関係性や、使用済みのビニール袋を使用するリスク、代替案としてのマイ傘袋について紹介します。
傘を入れるビニール袋とは
近年、環境保護の取り組みとしてレジ袋の有料化が進められていますが、デパートや店舗の入り口に設置されているぬれた傘を包むためのビニール袋は、現在も無料で提供されていることが一般的です。 ビニール袋は、雨の日に床をぬらさないための便利なアイテムとして重宝されているものの、一度使ったら捨ててしまうため、環境負荷だけを考えれば、削減が望ましいといえるでしょう。 ビニール袋は石油を原料としたプラスチック製品であり、廃棄後に自然分解されにくいという特徴があります。適切に処理されない場合、海洋に流出して生態系に悪影響をおよぼす可能性もあるでしょう。一方で、「環境のためにビニール袋を再利用する」行為には、衛生面のリスクが課題として挙げられます。
使用済みのビニール袋のリスク
環境保護の意識が高まる中、ビニール袋を再利用することは一見良い行動のように思えます。しかし、使用済みのビニール袋を利用することで、思わぬ衛生リスクが生じる可能性があります。 例えば、手を介した細菌の繁殖や食中毒の危険性は見過ごせません。環境への配慮だけでなく、健康を守るためにも、こうしたリスクをしっかりと理解しておくことが大切です。ここでは、使用済みビニール袋を利用するリスクを具体的に紹介します。 ■食中毒は手から発生する 日本では年間1000件以上の食中毒事故が報告されており、その約7割が手から発生しているといわれています。仮に使用済みのビニール袋を触った後に手を洗わず、食事やおやつを手づかみで食べると、体内に細菌が入り込み、食中毒になってしまう可能性もゼロではありません。 使用済みのビニール袋は他人が触れたものであり、どのような環境で使用されていたのかは分からないものです。目には見えないリスクが隠れているため、特に子どもや免疫が弱い人には注意が必要といえます。 ■人の手は菌が繁殖しやすい 手は「適温」「栄養」「水分」の3条件がそろっていることから、細菌が繁殖しやすい部位の一つです。 使用済みのビニール袋を触ることで、そこに付着していた菌が手に移り、さらに手の上で繁殖する可能性があります。雨水でぬれたビニール袋であればなおさらでしょう。手から顔や食べ物に菌が移る「二次感染」を防ぐためにも、使用済みのビニール袋を利用することは衛生的におすすめできません。