これから金利が上昇しても「住宅ローンは〈変動金利〉を選んだほうがいい」納得の理由
日本銀行がマイナス金利政策を解除したことで、17年ぶりに「金利のある世界」が訪れようとしている。こうした金利上昇局面では、住宅ローンは「固定金利」を選んだほうがよいと思っている人も多いだろう。ところが、著書に『金利で損しない方法、教えてください!』がある、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、「変動金利」をすすめる。一体どうしてなのか、ウエノ記者が深堀りする。 【マンガ】3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」、地獄を見たワケ
固定金利か、それとも変動金利か?
ウエノ:やはり住宅ローンは金利上昇にまつわる最大の関心事だと思います。僕も子供が大きくなってきたからいずれは家を買いたいですけど……。 今は「変動金利」で借りる人が圧倒的に多いですが、これから家を買うならやはり「固定金利」のほうがいいですか? 深野:たしかに、一般的には金利のボトム圏や上昇局面では、住宅ローンは「固定で借りる」がセオリーでしたね。ただ、それは過去の話になっています。金利のある世界になっても、「住宅ローンは変動で借りる」でいいと思います。 ウエノ:でも、変動金利はこれから上がってしまいますよね。となれば、金利上昇時代には現在の低めの金利に固定できる「固定金利」のほうが有利じゃないんですか? 深野:かつてはそうでしたが、今の変動金利は昔とは別物になっているのです。そもそも、変動金利は銀行と銀行がお金を貸し借りする際の金利「短期プライムレート」に連動します。一方の固定金利は市場で決まる「長期金利」に連動します。 ただ、変動金利は短期プライムレートに連動するとはいえ、最終的に決めるのはあくまで住宅ローンを提供する各銀行です。 ウエノ:たしかにその通りです。
実際には「優遇金利」が適用される
深野:各銀行サイトの住宅ローンのページを見れば一目瞭然ですが、住宅ローンには「店頭金利」と「優遇金利」という2種類の数値が表示されています。そして、住宅ローンを借りる際に実際に適用されるのは、優遇金利のほうです。 だから店頭金利では2.475%などと表示されていても、実際に借りるときには個々人の信用状況などを反映して金利が店頭金利から引き下げられ0.3~0.6%台という非常に低い優遇金利で借りられる仕組みになっているのです。 ウエノ:僕も住宅ローンを調べたときに知りましたが、人によって「優遇幅」が変わったりしますよね。 深野:はい。そのとき銀行は借りる人の“信用度”を見ています。年収や資産状況、勤務先、勤務歴などをスコアリングして、それに応じて店頭金利よりもディスカウントした「優遇金利」で貸しています。 また、個人の属性以外に購入する物件や土地の価値も優遇金利の条件になりますね。新築住宅よりも中古住宅のほうが住宅ローン金利がやや高かったり、住宅ローンの審査条件が厳しくなるのはそのためです。