備えあれば憂いなし!「防災グッズや備蓄食料」を会社で買ったら経費にできる?
今年元旦に発生した能登半島地震や、7月には山形で記録的な大雨により、甚大な被害を受けた。地震や水害などの災害は、いつ発生するか予測できないため、オフィスに防災用品や食料の備蓄を備えることを検討している、企業や個人事業主の方も多いのではないだろうか。 ではどんなものを用意しておく必要があるのだろうか。内閣府(防災担当)の「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」では、企業が備えるべき災害・防災備蓄について、以下のようにまとめている。 <備蓄品> ・水(ペットボトル入り飲料水)3日分 ・主食(アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺)3日分 ・毛布やそれに類する保温シート ・簡易トイレ、トイレットペーパ等 ・敷物(ビニールシート等) ・携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池 ・救急医療薬品類 さらに、上記品目に加え、企業ごとに必要な備蓄品を検討していくことが望ましいとしている。 <追加する備蓄品の例> ・非常用発電機、燃料 ・工具類、調理器具(携帯用ガスコンロ、鍋等) ・副食(缶詰等) ・ヘルメット、軍手、自転車、地図 そこで気になるのが、防災用品や備蓄品はどこまで経費にすることができるかだ。また、購入したものは、会計上どのように処理すればいいのだろうか。松本佳之税理士に聞いた。 ●長期間保存可能な備蓄品は購入時に損金処理できる ーー前述した防災用品や備蓄品は、企業の場合、どこまで経費(損金)として認められるのでしょうか? 「企業が、防災用品や非常用食料品等の備蓄品を購入した場合、経費とすることが可能です。 また計上のタイミングですが、長期間保存がきくものであっても、『購入時に損金として処理する』ことができます。 購入した資産は、本来『事業で使ったときに損金として処理する』のが原則です。ただし、非常用食料品等の備蓄品で、消耗品に該当するものについては、備蓄することをもって事業で使ったと考えることもできるため、購入したタイミングで処理が可能となります。この場合の勘定科目は『消耗品費』として処理することが一般的です」 ● 「福利厚生」として従業員への防災品支給もOK ーー ではもし、企業が従業員の自宅用に防災用品等を支給した場合はどうなるのでしょうか? 「全従業員を対象として、社会通念上妥当と考えられる範囲のものを支給したのであれば、支給した企業側では経費となり、受け取った側も給与等として課税されることはありません。従業員が防災対策をしておくことも事業継続のために必要なことであるとも考えられるからです。 勘定科目は『福利厚生費』を用いるのがよいでしょう。この場合も『購入時に損金として処理する』ことができます。 ただし、特定の役員や社員を対象とした場合や高級な缶詰など、支給したものが一般的な防災用品でない場合には、企業の経費にならなかったり、もらった人が課税されることもありますので、注意してください」 ●個人事業主が自宅兼事務所に備える防災用品はどうなる? ーー個人事業主が、自宅兼事務所に備える防災用品や備蓄品は経費になるでしょうか? 「個人事業主が自宅兼事務所に備える防災用品や備蓄品については、事業目的と家族などがプライベートで使用する目的のものとの切り分けが難しいため、明確に事業用と判断できるもの以外については、経費にすることは難しいものと考えられます」 【取材協力税理士】 松本佳之税理士・公認会計士。みんなの会計事務所代表。 「税理士のノウハウを会社成長の力に」をモットーに、起業支援、中小・ベンチャー企業の支援や税務業務を手掛ける。 グループ会社「みんなの会計ビジネスサポート株式会社」では、経理業務のアウトソーシングサービス「みんなの経理部(https://keiribu.co.jp/)」を運営。企業の税務・経理の課題を様々な形で解決する。 事務所名 :みんなの会計事務所 事務所URL:https://www.office-kitahama.jp/
弁護士ドットコムニュース編集部