「明治神宮の森林を守るためには“国有化”が不可欠」 国際団体の日本支部が“外苑”「再開発計画」撤回を求める
再開発計画の目的は二転三転
石川理事は、再開発計画が発表された当初から、その「目的」が二転三転してきたことを指摘する。 「2011年には『四大スポーツクラスター(スポーツ施設)の整備』が目的とされていたのが、2013年には『まちづくりのための都市公園計画』が目的とされた。 そして、現在、三井不動産は『内苑の森を守る』ことを目的としている」(石川理事) 「内苑」とは、渋谷区にある「明治神宮御苑」のこと。 明治神宮は、スポーツ施設を持つ外苑やブライダル事業の明治記念館など収益部門から資金を繰り入れて、明治神宮がある内苑を維持している。再開発を通じて外苑からの収益を保つことが内苑の維持のためには必要だと、三井不動産側は主張している。 だが、石川理事は「三井不動産は内苑のことを全く理解していない」と語る。そもそも内苑では現時点でも水の枯渇やナラ枯れなどの問題が発生しており、早急な対応が必要だ。だが、地域の森林で同様の問題が発生している自治体に比べて、民間の宗教法人である明治神宮の対応は遅いという。
森林を守るためには「国有化」が必要
石川理事は「明治神宮は外苑・内苑を国に寄付すべきだ」と提案した。 「これまで、国は各地の国営公園で森林をとても丁寧に守ってきた。この事実は日本の誇りだ。 内苑・外苑を国有地にすることで、『内苑を維持するために外苑の再開発が必要』との主張を否定し、再開発を防ぎながら二つの森林を守ることができる。 明治神宮の森林の問題は、多少のお金を積み上げることでは解決できない。この事実を社会が明確に認識して、森を守るための代替案を考えることが必要な段階になっている」(石川理事)
弁護士JP編集部