新型コロナ、麻疹、髄膜炎菌…パリ五輪で注意すべき感染症
7月26日から17日間にわたり、フランス・パリで第33回オリンピック競技大会が開催されます。前回の東京大会は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が急拡大する中、ほとんどの会場が無観客になりましたが、今回は久しぶりに世界中から多くの観客が参加する大会になりそうです。その一方で、現在、世界各地ではさまざまな感染症の流行がくすぶっており、この大会を契機に流行拡大が起きないように注意をする必要があります。オリンピックのように世界中の人々が集う場では、感染症の伝播が発生しやすくなるのです。今回は、パリ大会で注意を要する感染症について解説します。【東京医科大学病院渡航者医療センター客員教授・濱田篤郎/メディカルノートNEWS & JOURNAL】
◇COVID-19とインフルエンザ
前回(2021年)の東京大会は、新型コロナのデルタ株が世界的に拡大する中、ワクチン接種も始まったばかりの状況で開催されました。競技会場には直前のコロナ検査で陰性が証明された選手や役員のみが入場し、ほとんどの会場を無観客にするなど、厳しい感染対策がとられました。その後も流行は続いていますが、ワクチン接種や感染で免疫を獲得した人が増え、現在では小規模な流行になるとともに、重症化する患者も少なくなりました。このため、今回のパリ大会では、COVID-19の感染対策は大幅に緩和されています。 24年6月現在、日本や欧米などでは、COVID-19の夏の流行が徐々に拡大していますが、今のウイルス株のままであれば、大きな流行にはならないでしょう。ただし、会場などで集団感染が発生したら、主催者側は一定の感染対策をとるはずです。 インフルエンザに関しては、北半球の流行は収束していますが、オーストラリアや南米など南半球での流行がピークにあります。競技会場には、こうした国からの観客も少なからず入場しているため、そこでインフルエンザの流行が拡大する可能性があります。症状のある人には入場を控えてもらうとともに、観客は手洗いなどの感染対策をとることが大切です。