新型コロナ、麻疹、髄膜炎菌…パリ五輪で注意すべき感染症
◇飲食物からかかる食中毒
大会の期間は夏の最中になるため、飲食物から経口感染する食中毒にも注意が必要です。水はミネラルウォーターを飲み、加熱した料理を調理後、早めに食べることなどが感染対策になります。 2023年9月にフランスで第10回ラグビー・ワールドカップが開催されたときは、開催地の1つであるボルドーの飲食店で、外国人客にボツリヌス菌食中毒の集団感染が起こりました。魚料理のサーディンが原因だったようで、15人が感染し1人が亡くなっています。フランスは衛生状態のよい国ですが、夏の時期は病原体が増殖しやすい環境になるため、飲食物に注意することが大切です。
◇蚊媒介感染症のリスクも
現在、蚊に媒介される感染症が世界的に増加しており、特にデング熱が中南米や東南アジアで爆発的に増えています。これは、気候変動による温暖化や多雨により、蚊の生息数が増えていることが大きな原因と考えられています。 こうした流行国で感染した人が、ヨーロッパで国内感染を起こすケースも増えており、2023年はフランスやイタリアでデング熱の国内感染例が報告されました。フランスでは地中海沿岸での発生が多くなっていますが、パリ近郊でも確認されており、今年も発生する可能性が高くなっています。 また、ヨーロッパでは元々、蚊に媒介されるウエストナイル熱が流行しており、フランスでも2023年は40人以上の患者が確認されました。この感染症は発熱や発疹(ほっしん)を起こし、高齢者などでは脳炎を併発して死亡することもあります。今年は蚊の生息数の増加で、患者数がさらに増えることが予測されています。今夏、フランスに滞在する人は、忌避剤を塗るなどして、蚊に刺されないよう注意する必要があります。 今回のパリ大会は、東京大会のようにCOVID-19の流行が拡大していない分だけ、感染症のリスクは低くなりますが、現在、世界各地で発生している感染症流行の影響で、油断のできない状況にあります。日本から大会を観戦に行かれる方は、十分にご注意ください。
メディカルノート