富士市、岳南電車の維持へ「応援基金」検討 ふるさと納税活用も
富士市の小長井義正市長は9日の市議会11月定例会で、岳南電車(同市)の支援に向けて「応援基金」の創設を検討するとともに、あらかじめ使い方を具体的に示すふるさと納税の「特定事業」を活用する方針を明らかにした。貨物輸送の廃止や沿線人口の減少で経営が厳しくなっているローカル線の存続を目指し、市内外から広く寄付が集まる仕組みを整える。 市は既に、ふるさと納税の寄付金の一部を岳南電車に対する公的支援に充てている。特定事業の設定について、小長井市長は「より多くの寄付を募り、寄付者の意思を明確に反映できる」と説明した。岳南電車と協議し、現在あるコラボ商品に加え、新たに体験型のメニューを用意するなど返礼品を拡充する。 ふるさと納税は市外在住者が中心のため、市民からの寄付もより多く受け入れる窓口として応援基金の創設を目指す。条例を制定して基金を設け、将来的にはふるさと納税の寄付金も積み立てる方向で調整する。同市に先行して、寄付金を赤字ローカル線の運行維持や設備投資などに活用している千葉県銚子市の銚子電鉄応援基金を参考にするという。 岳南電車は富士市東部の全長9・2キロ区間を結ぶ地方鉄道。市は市民の「暮らしの足」として不可欠な交通手段と判断し、2004年度から年1千万円の公的支援を始め、23年度は7700万円を助成した。24年度は8300万円の交付が決まっている。 経営改善を進める中、岳南電車の橘田昭社長は「現在も乗車して応援してくれる方々がいる。新たな応援方法ができるとすれば、喜ばしい」と話した。 小長井市長は小池義治氏(草の根ふじ)の一般質問に答えた。
静岡新聞社