東京-大阪間“無人カート”が荷物を運ぶ「自動物流道路」実現を目指して…“物流問題”どこまで効果がある? 専門家が解説
◆工事費用は高額 人手不足はドライバーの待遇アップで解決できる?
ユージ:「自動物流道路」について、塚越さんはどうご覧になりましたか? 塚越:スイスは人口が増えているのですが、人口減少が進む日本では、費用対効果を考える必要があります。そして気になる工事費用ですが、現在の技術を前提にすると10kmあたり、地上の場合およそ250億円、地下の場合は70億円~800億円かかるという試算があります。物価高騰でもっと価格が上がるかもしれませんし、東京~大阪間はだいたい500kmです。 ユージ:10kmは物流の世界でいうと「すぐそこ」の話ですよね。基本トラックの運転手さんも、長距離を運転される方がすごく多いですから。 塚越:最低でも70億円、最大800億円かかるということですからね。実際、完成した場合もトラックで輸送している荷物のうち最大26%程度を振り分けられます。もう少し何とかならないかなと思います。個人的には厳しいと思いますし、イギリスのような形なら何とかできるかなという気がします。 ユージ:今のトラック運転手の負担が26%減になるとのことです。なかなか、お金がかかりますね。ここまでお金をかけて頑張ったとしても26%しか賄えないのですね。 吉田:賃金を上げてもらったほうがありがたいですね。 塚越:オートメーション化は大事だと思います。しかし今いるドライバーさんを大切にすること、あるいは一律に賃金を上げることも大切です。サービスの値段は上がってしまいますが、(その分、労働者に適切に還元されるのなら)それは良いことだと思いますし、そうしないといけません。 物流問題でこれから輸送能力がどんどん下がると言われているなかで、自動物流道路を作るのか、ドライバーさんを大事にして賃金を上げ、その分のコストを我々消費者も負担するのか。そうした意味では、我々に問われている問題でもあります。 ユージ:オートメーション化によって、物流による渋滞緩和などは解消されそうですが、人手不足は賃金を上げれば何とかできるのではと思いました。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年5月22日(水)放送より)