アタマの良い人が必ず実践している、「何が重要な情報か」を見極めるための「究極の方法」
「分節力」はなぜ重要なのか?
本を分節する目的は、主に次の3つです。 (1)情報を1つにまとめる (2)情報の関係性を整理する (3)理解の追いつかない箇所を確定する 1つ目は「情報を1つにまとめる」というものです。本を読んでいると、同じようなことが繰り返し書かれていることがあります。また、1つのことについて、長々と具体例が書かれていることもあります。おそらく筆者のこだわりが反映されている箇所なのだと思いますが、「分節」という観点から見た場合、それらは1つ(具体的には「一文」)にまとめられてよい情報です。「同じ性質の情報は1つにまとめる」、これが1つ目のポイントです。 2つ目は「情報の関係性を整理する」というものです。何かを論証しようとしている本は、多くの場合、「AとBの2つがあり、A(またはB)の方が優れている」という主張の形式をとります。中には、複数の選択肢を提示したのちに、「この中で○番目のものが一番良い。なぜなら~」と論じる本もあるでしょう。いずれにせよ言えることは、何かを論証する本は、その中で「優劣」の価値づけをはっきり行っているということです。「筆者が重視している立場や、その根拠となっている議論を探る」、これが2つ目のポイントです。 3つ目は「理解の追いつかない箇所を確定する」というものです。私たちは情報を読み取るとき、どうしても理解のできない箇所というものに直面してしまいます。人の理解を妨げるのは、多くの場合、よく分からない使われ方をしている単語・表現や、流れのおかしい接続詞です。また、「抽象的すぎて何が何だか分からない」ということもあるでしょうし、「具体的だけど、つまり何が言いたいのか分からない」ということもあるでしょう。 このとき大切なのは、「どこで引っかかって理解できないのか?」という点を具体的に明らかにすることです。逆に言えば、「ここが理解できないんだ」という箇所が特定できるだけで、私たちはその箇所を明らかにするために必要な情報を効率的に収集できるようになります(いわゆる「何が分からないのか分からない」という状況を回避する必要があるのです)。「理解できない箇所を理解する」、これが3つ目のポイントです。 分節を行う際に、こうした3つの目的を忘れないようにしてください。ただ分ければよいというわけではなく、意味のある仕方で分けることが重要なのです。 さらに連載記事<アタマの良い人が実践している、意外と知られてない「思考力を高める方法」>では、地頭を鍛える方法について解説しています。ぜひご覧ください。
山野 弘樹(哲学研究者)