安倍晋三首相は29日、官邸で会見を開き、国内で感染が広がる新型コロナウイルスへの政府としての対応について説明した。26日に大規模イベントの2週間自粛、27日には全国の小中高校などへの一斉休校を要請したことなどを踏まえ、「私が決断した以上、私の責任において、さまざまな万全の対応を取る決意だ。国民生活への影響を最少とするために立法措置を早急に進めていく」との方針を示した。予備費約2700億円を活用し、休校措置に伴い減収した保護者への助成金制度の創設など緊急対応策を取りまとめる。 【動画】新型コロナ感染抑制へ政府の対応を説明　安倍首相が会見

感染拡大防止へ「あらゆる手を尽くすべき」

写真]会見で新型コロナウイルス対応について説明する安倍首相（ロイター/アフロ）

　新型コロナウイルスの感染は世界的に広がり、発生源の中国に続き、韓国やイタリアなどでも感染者が急増している。日本の現状について、安倍首相は「そこまでの拡大傾向にはないものの、連日感染者が確認される状況」との認識を示した。 　その上で、「感染拡大のスピードを抑制することは可能である」とし、専門家会議が示した「これから1～2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」との見解をもとに、「国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手を尽くすべきであると判断した」と強調した。 　全国の学校への3月2日から春休みまでの一斉臨時休校に関しては、「何よりも子どもたちの健康安全が第一。学校での子どもの集団感染は何としても防がなければならない」とした。3月は子どもたちにとって卒業や進学前で学年最後に思い出を作る大切な時期だとも言及し、「そうした時期に学校を休みとする措置を講じるのは断腸の思いだ」と述べた。 　多数の人が集まる全国的なスポーツ、文化イベントの中止・延期・規模縮小を要請したことについては「集団による感染をいかに防ぐかが重要で、大規模感染のリスクを回避するため」とした。 　スポーツジムやビュッフェスタイルの会食で感染が拡大した事例に触れ、事業者に対して、換気が悪く密集した場所や不特定多数が接触する可能性の高い場所での活動についても当面控えることと、十分な感染防止の措置を求めた。