「パーマの1液と2液の間に買い物に行く」実はタイパ重視な奥田民生の「ゆるさ」の正体
2024年10月に発売された奥田民生さんの著書『59-60 奥田民生の仕事/ 友達/ 遊びと金/ 健康 /メンタル』(ダイヤモンド社)が、今注目を集めている。ゆるい、自然体、力まない……。このような言葉で表現されてきた奥田さんの生き方から、どうやら人々は“何かいい感じ”に生きるヒントを掴み取りたいと考えているようだ。 【写真】「ゆるい」奥田民生の意外な一面とは...? しかし奥田さんを表す言葉はそれだけではない。「ゆるいのにロック」、「無理していないのにカッコいい」など、必ずその対義語がついてくるのだ。おそらくこのバランスこそが多くの人が模索しているものであり、今奥田さんの著書に注目が集まっている最大の要因でもあるのではないだろうか。 一体どうすればこのバランスを見出すことができるのか。そして自分の生き方とすることができるのか。FRaUwebではこのたび、のらりくらりとした奥田さんの言葉の端々から、何とかそのヒントを見出そうと試みた。前編では、奥田さんの意外な一面について。「ゆるい」イメージがある奥田さんだが、実は「時短」や「効率」をかなり重視しているという。
僕の本に食いついていちゃいかんだろう(笑)
「僕の本がちょっと注目されているということでどう思いますか? ってよく聞かれるんですけどね。それで思ったんですけど、世の中マジメにやることに疲れたんじゃないかと。それはちょっといかんのじゃないかと(笑)。ちょっと逃げ出したい症候群の人たちがこの本を買っているんじゃないかと思ったりして、申し訳ない気持ちになったんだけど、ただ残念ながら、そういった人たちにはそんなに参考にならない本だと思います(笑)」 少し照れながら、そう自著への反響の印象を語ってくれた奥田民生さん。バンド「ユニコーン」 として、ソロアーティストとして、そしてPUFFYなどのプロデューサーとして、数々の名曲を世に送り出してきた。どこか聴く人を脱力させるような、ゆるく心地よい楽曲やパフォーマンスは、あっという間に人々の心を捉え、そのカリスマ性は“奥田民生になりたいボーイ”を生むという社会現象まで引き起こしたほどだ。 仕事はほどほどに、肩の力を抜いて、日々頑張り過ぎず楽しみながら生きたい――。ワークライフバランスが重視されるようになった昨今、このように考え始めた人は非常に増えている。奥田さんはまさに、時代に先駆けてこのバランスを体現させてきた人と言えるのではないだろうか。 そんな奥田さんの生き方から、ゆるさのバランスのヒントをもらえたらと思い、このたびインタビューをオファーさせてもらった。実際、著書では「仕事なんて そこそこでいいと思ってきた」と綴っているが、この“そこそこ”の加減についてまずは伺ってみた。 「僕はたぶん、何が仕事か、というのがちょっと皆さんと違うと思うんですよね。僕の場合は音楽を作ることが仕事なんでしょうけど、仕事じゃないんですよ。僕の仕事っていうのは、こういう取材とかなんです。音楽を作るのは趣味みたいなもんで、曲ができた後にそれを売るだとか、プロモーションするだとか、写真を撮られるだとか、そういうのが仕事なんです。だから、そこは“そこそこ”にしておいて、みたいな感じですね。 言うとしたら、仕事の中に“仕事”と“仕事じゃないところ”があるのがラクなんじゃないかなって思います。仕事だからちゃんとやらなきゃ、っていうのはもちろんありますけど、そうじゃないところもある感じですね。まあそこは、やり方というより性格が大きいと思うんですけど。マジメな人はそんなことできないでしょうから。マジメな人はどうしたって全部マジメにやっちゃうので、アドバイスにならないんですけど」