西武鉄道2000系譲渡が話題の近江鉄道、数年後に観光列車導入も検討
セレモニーの後、近江鉄道代表取締役社長の飯田則昭氏に、京都鉄道博物館で特別展示を行う意義を聞いたところ、「お子様にも近江鉄道の車両を見ていただけますし、都会にいるとなかなか見られない、歴史のある、味のある車両が見られる機会だと思います。ぜひ多くの方に見ていただき、実際に動いているところも見ていただきたい」との答えが返ってきた。 ■譲受した元西武鉄道2000系に施す改造メニューとは 今年4月に新たな一歩を踏み出した近江鉄道は、車両面でも動きが見られる。10月22日、X(Twitter)の同社公式アカウントに、元西武鉄道2000系の到着を知らせる内容が投稿された。西武鉄道の2000系自体は1977(昭和52)年に登場したが、近江鉄道へ譲渡された2000系は「新2000系」と分類される車両で、1988(昭和63)年に登場。2000系をベースにデザインを一新している。 近江鉄道によると、譲受した2000系は計4両(2両×2編成)とのこと。ワンマン化改造は行うものの、もとから2両編成のため、先頭車化工事は必要ないという。2000系の改造については、先進車両の導入を支援する国の補助金である「社会資本整備総合交付金」も意識している。2000系を「先進車両」にするため、ワンマン化改造をはじめとする従来の改造メニューに加え、線路設備を点検する監視カメラも車両に設置する。 さらに、近江鉄道は観光列車の導入に向けて調査・研究を開始したことも明らかにした。具体的には、車内でビールの飲み比べを楽しめる「ビア電」といったイベント向けの専用車両を見据え、数年後の導入を検討しているとのことだった。このように、近江鉄道はさまざまな手を打っている。 ところで、元西武鉄道の車両が活躍する路線は他にも上信電鉄(群馬県)や流鉄(千葉県)、伊豆箱根鉄道駿豆線(静岡県)、三岐鉄道三岐線(三重県)などが挙げられる。このうち三岐鉄道三岐線に関して、今年7月、既存車両21両を置き換える目的でJR東海から211系を譲受したと発表があった。 三岐鉄道三岐線で既存車両の置換えが進むと、名古屋以西で元西武鉄道の車両がいまも幅を利かす近江鉄道の注目度がさらに増すかもしれない。近江鉄道の本線は東海道新幹線と接続する米原駅を始発駅としており、首都圏からもアクセスしやすい。京都鉄道博物館での特別公開を機に、懐かしい西武鉄道の車両に会う近江鉄道の旅はいかがだろうか。
新田浩之