町田電撃加入のDF中山雄太「出来過ぎ」開始4分弾&無失点デビュー!! 黒田監督も称賛惜しまぬ“再出発”
[8.17 J1第27節 町田 4-0 磐田 Gスタ] 鮮烈なデビュー戦だった。FC町田ゼルビアに電撃加入したDF中山雄太は加入後初出場初先発となったJ1第27節・磐田戦の前半4分、DF杉岡大暉の左CKにファーサイドで反応し、力強いヘディングシュートで先制点を奪取。12306人の大観衆にさっそく挨拶代わりの一撃を披露し、4試合ぶりの白星をもたらした。 【写真】「ものすごいメンツ」…リバプール豪華3選手に囲まれたMF長野風花 中山にとっては柏レイソル時代の2018年J1最終節・G大阪戦以来2086日ぶりのJリーグ復帰戦で、同じく2086日ぶりのゴール。また18年は直前の第33節・C大阪戦でも得点していたため、これで6年越しの3戦連発となった。試合後、取材に応じた中山は「全然知らなかった」と苦笑いを浮かべつつも、「ゴールという部分で一つの結果として表れて良かった」と“再出発”への手応えを語った。 昨季終盤戦を左膝の負傷で棒に振ったため、公式戦出場は負傷交代した3月2日のリーズ戦以来5か月ぶり。現在もトップコンディションではなく、今月14日の加入発表からの3日間の練習期間も「毎日感覚を取り戻す意識でやっていた」という。そのため前日16日の練習も「あまり良くなかった」と中山。ただ、それをもポジティブに捉えながらプレーしていたようで、「良くなかったぶん今日の意識につながったんだと思う」と振り返った。 またゴール以降は主に守備で貢献を見せ、得点ランキング2位につけるFWジャーメイン良を擁する磐田相手にクリーンシートを達成。それでも「得点・無失点デビューという点では今日の試合は出来過ぎだと思う」と冷静に述べ、ジャーメインとのマッチアップには控えめな自己評価を口にした。 「必死でしたね。もうちょっと自分のイメージではうまく止められると思ったけど、自分の試合感も合って今日はファウル気味でも止められればと思った。仕事をさせなかった部分は良かったけど、もっともっと良くなる。今日は最低ラインだったと思う」(中山) 加えてこの日は4バックの左CBでプレー。昨季まで2シーズンを過ごしたハダースフィールドでは3バックの一角や4バックの左SBを務めていたこともあり、練度を上げていく必要もありそうだ。中山は「キャリア的には以前やっていたので、初めてと久しぶりの感覚は違う」と前向きに述べつつ、「数試合やれば戻ると思うし、これからもっと良くなるしかないと思っている」と展望した。 もっとも中山が冷静な見方を崩さない一方、黒田剛監督は手放しで称賛を送った。 「まだ合流して間もないということで、果たしてCBというポジションで、またしばらく実戦経験がなかったので、どれくらいできるかなというところで半信半疑な部分もあったが、今日のゲームで彼のキャリアであったり、日本代表としてのプライドをしっかりと証明してくれた。今日の1試合を見たらチーム全体の信頼を獲得したと思う」 指揮官によると、合流から3日間の中でも順応を手助けするアプローチを行ってきたのだという。 「今までのビデオを見せ切って、守備のコンセプトをかなり叩き込んだ。我々もオフに出てきて、彼に対してのレクチャーを長い時間かけてやっていた。オフ明けにトレーニングを再開するときにはかなり町田のサッカーを理解し、浸透した段階で合流させた。それが一歩前進できた要因だったと思う。また彼のために実戦的なトレーニングを多くして、チームの協調、みんなの和を順守させたなかで、トレーニングを積み重ねてこられた。また彼も知っている選手が何人もいるので、そんなに何か弊害があるわけでもなく、1日でもみんなに順応して和気藹々とできていた。それが大きな成果を生んだと思う」(黒田監督) そうした日々を経た中山もチームへの適応度合いには充実感をにじませた。 「コミュニケーションを取る部分では性格上苦ではないし、自分が思っていることを発信して、それが合っているか合っていないか、こうしてほしいのかああしてほしいのかのすり合わせだけだと思っている。今日に向けてのすり合わせはすごく多かったけど、個人のパフォーマンス含め、周りとの連係もこれから良くなるしかないと思う」(中山) 自身のキャリアを前進させるため、大きな覚悟を持って決断した町田への移籍。ここで満足するつもりはない。「デビュー戦が良かったので、次が大事という意識も強く持っている。今日だけじゃなく、次もその次も優勝に向けて確実なものにしていきたい」。9月から北中米W杯最終予選が始まる日本代表復帰に向けても、変わらぬ存在感を示し続けるつもりだ。