「HELLY HANSEN(ヘリーハンセン)」の 定番「セーリングジャケット」が生まれた背景とその歴史
ブランドを象徴する安全性を意識したセーリングジャケット
2023年秋冬でリニューアルした「オーシャンフレイジャケット」。山系ブランドでいうところの“マウンテンパーカ”といえるこのジャケットは、洋上で活用するためのジャケットなので透湿防水性はもとより、水にぬれた際の防寒性まで確保された作りとなっている。小池さんはこのジャケットに関してもこう語ってくれた。
「セーリングウェアは、ただ動きやすいことや快適に過ごせることを追求するのではなく、まずは身を守ることを第一前提とした設計となっています。要するに海の上で身を守れるように、防風防水という部分には特に力を入れています」 「オーシャンフレイジャケット」を見ると、従来のアウトドアジャケットに比べてエリの高さがかなり高めに設定されている。また袖口の部分もダブルカフの仕様になっていて、水や風が中に入ってこないような作りになっているのがわかる。
「安全面としては、フラッシュイエローのフードが視認性を高めています。これは海に落ちてしまったときに発見しやすくするため。また肩口や前立て、フードなど身体を動かして目立つ部分に“SOLAS(ソラス)”という国際基準を満たしたリフレクターをつけることで、視認性を確保しています」
もちろん、身を守るだけでなく動きやすさもお墨付きだ。小池さんは続ける。 「ファスナーが裾の際まで配置されていないのも特徴のひとつですね。ヨットなどに乗ると足を踏ん張るような機会があるので、脚を広げやすくするような仕様としてファスナーが裾の際まで下りていません。また、生地に関してもアップデートがなされていて、生地は水を含むと膨らんで重くなるのですが、膨潤(生地が水で膨らんでいる状態)がしづらい素材へと進化しています」 海の上で活躍できるよう常にアップデートしているのが「オーシャンフレイジャケット」なのだ。
“海”の未来を見据えた活動を継続していくヘリーハンセン
海で培われた機能性やデザイン、ディテールを“海”というシーンの中で最適化して、ウェアとして提案する「ヘリーハンセン」。海など水辺にまつわることに関しても注力していきたいと小池さんは語る。 「海で培った知見を落とし込んだライフジャケットなども開発しているので、それを着て川下りをやるなどのイベントも視野に入れた動きを展開していきたいと考えています」 水辺でのアクティビティは水に慣れていないと危険が伴う。だからこそ、水辺ではライフジャケットなどのウェアを正しく着用することを啓蒙しながら、水辺に強いウェアを用いた新しい遊びやアクティビティなどを発信していきたいとのこと。 「もちろん“海”ならではのできることも提案していきます。たとえば、ノルウェー語で“風力”を意味する“VINDKRAFT(ヴィンドクラフト)”です。これは役目を終えたヨットなどのセイルを回収し、アップサイクルして新たなプロダクトを創り出していくことにも重きを置いています。