前夫が再婚して子供が生まれたらしいです。養育費は減らされる?親権者と子供の生活を支える「養育費」、トラブル回避のために知っておくべきポイントとは?【弁護士が解説】
離婚後、「養育費」を受け取らなければ親権者と子供の生活が成り立たないといったケースも少なくありません。各々の経済事情や家庭環境が変わった場合、生活の要である養育費にはどのような影響があるのでしょうか? 本稿では、上谷さくら弁護士の著書『新おとめ六法』(KADOKAWA)より一部抜粋して、養育費の取り決めに変更が生じる具体的なケースと、養育費の未払い等といったトラブルへの対処法について解説します。
事例:収入が倍になった夫に養育費は「倍額」請求できる?
CASE:離婚して、2人の子供を育てているシングルマザーです。元夫は離婚後、転職して収入が2倍くらいになったようです。私はなかなか正社員になれなくて、収入は離婚時と変わりません。子供の塾や習いごとにお金をかけてあげたいのですが、増額を請求できるでしょうか? ANSWER:増額請求できます。元夫が任意で応じてくれない場合は、養育費増額調停を申し立てましょう。離婚時から収入が2倍になっているのであれば、離婚時とは事情が変わったといえますので、増額が認められるでしょう。
事例:今後確実に収入が減る場合、養育費の「減額」はできる?
CASE:離婚して、一人暮らしをしている男性です。元妻との間に3人の子供がいて、毎月決まった養育費を支払っています。実は重い病気になり、これまでどおりに働くことができず、収入が減りそうです。養育費の減額は可能でしょうか? ANSWER:収入がどのくらい減るか、ということに左右されます。元妻が任意で減額に応じてくれればいいですが、拒否された場合は、養育費減額調停を申し立てるしかありません。その場合、離婚時から多少少なくなった、という程度では変更できません。
事例:再婚後「養子縁組」した場合、前夫の養育費はどうなる?
CASE:離婚して子供の親権を取得し、前夫からは養育費をもらっています。その後、私は再婚。再婚相手(後夫)と私の子は、養子縁組をしました。この場合、前夫の養育費はそのままもらえますか? ANSWER:子供の第一次扶養義務は後夫が負い、前夫は第二次扶養義務を負うことになります。後夫に経済力がない場合などを除き、前夫は実父ではありますが、扶養義務を負わないので、養育費を支払わなくてもいいことになります。ただし、前夫が「実子なので払い続けたい」というのであれば、受け取ることは自由です。 なお、後夫が養子縁組しない場合、後夫は法律上の扶養義務を負いませんので、引き続き前夫が養育費を負担することになります。