湯崎英彦・広島県知事に聞く(全文1)人口対策“故郷で錦を織る”発想へ転換
“できる人”は東京へ、世界へ……、という発想から逆転させる
── ステレオタイプですね。 そうですよね。それを逆転させなきゃいけないと思うんですよね。地域に行って暮らしているのがすごくかっこいいと。「北の国から」とかは、ある意味そういう部分がありますが、そういうイメージがもっと増えるといいな、と。それは、何を言っているかというと、新しいライフスタイルということだと思うんですね。 ちょっとできる人は東京へ行って活躍する。さらに何かできる人は、そこから世界に出て行く、みたいな、そういうステレオティピカルなイメージを変えて。それが憧れのライフスタイルみたいな感じだったと思うんですけれども、そうじゃなくて、今や地域が、直接世界に結びついていますし、地域で活躍することが、活躍するというのは、活躍と同時にしっかりと暮らしを楽しむ、あくせく満員電車に乗って働くのではなくて、ゆったりと暮らしていく。 その両方を成立させるのがかっこいいんだ、というこの新しいライフスタイル、これをつくっていくということが重要だと思うんですね。それを社会的に、これは、僕は、本当にメディアの皆さんの力が必要だと思いますけれども、それを進めると同時に、実際にそれを実践しなきゃいけないので、「広島ではそれができる」ということを確立していきたいな、と思っています。 それが今、広島で取り組んでいるものですけれども、われわれはこのビジョンの中で、「仕事でチャレンジ! 暮らしをエンジョイ! 活気あふれる広島県~仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイルの実現~」と言っているのですが、先ほど申し上げたような自然と都市が近いということも活用しながら、またイノベーション、これを活用しながら、所得はしっかりと確保できます、クリエーティブな仕事もあります、だけど、暮らしもしっかりとエンジョイできるというライフスタイル。これは決してそういうステレオティピカルなものをみんなに押しつけるということではなくて、それもできると。もちろん働きたい人はしっかり働ける、もっと暮らしにウエートを置きたい人はウエートを置ける。そういう選択肢を選べるということですね。 皆さんそれぞれ、仕事についても、暮らしについても、実現したいという夢だとか希望があって、それが広島なら実現できると。ただ、そのためには、仕事と暮らしを両立することができる環境をつくっていかなければいけませんので、そのためにもいわゆる「働き方改革」みたいなものを進めていくと。一方で、生産性も上げていくということを通じて、しっかりと働いて暮らしもしっかりと楽しむ、そういうライフスタイルが確立できたらと。そこを今、目指していく。欲張りですよね。それで、「欲張りライフ」と言っているんですけれども。 ※湯崎英彦・広島県知事に聞く(全文2)に続く