湯崎英彦・広島県知事に聞く(全文1)人口対策“故郷で錦を織る”発想へ転換
自然動態については、少子化ということが非常に進んできていまして、出生率自体は、ピークといいますか、マイナスピークが2004年だったのですが、これは1.33で、その後は増加に転じまして、現時点では1.60まで回復しています。これは全国よりも早いペースで回復をしていますけれども、親世代自身が既に減ってしまっていますので、絶対数からいうと子どもの数が減ってしまうということがありまして、自然減というのは押しとどめようがないところにはあるのかな、と。その影響をできるだけ緩和するために、出生率の向上を図ろうとしているというところです。
県民の結婚・出産希望をかなえるビジョン 第1段階として2025年までに出生率1.85
── 広島県の推計では、2060年の推計で2パターンを挙げています。このまま推移する場合は今の67%まで落ち込んで190.6万人まで減る。働きかけで、社会動態増・出生率増のときは、235.8万人。今、話にあったような取り組みの目標数値として、この数字を挙げていると捉えていいですか。 そうですね。県としては、「ひろしま未来チャレンジビジョン」というビジョンがあるわけですけれども、その中でこの人口の問題、どういう目標にしていくかということを扱っていまして、一つは、今の社会動態、これをプラスマイナスゼロにしていく、ということを目標にしています。実際には5年間で既に社会増になっているので、これは足元では達成しているのですが、今後そのトレンドが定着するようにしていかなければいけないですよね。 もう一つは、出生率の問題で、まず第1段階として、2025年までに出生率を1.85まで引き上げていきたいなと思っています。県民の皆さんの調査をすると、「結婚したら何人か子どもが欲しい」というのがありますけれども、それが実現したら、大体1.85ぐらいになるという数字がありますので、実際に県民の皆さんの希望をかなえる施策を進めるということですね。そこでまず、1.85まで引き上げた上で、最終的には2035年ぐらいには2.07、これは人口が平衡していくという数字になるわけですけれども、ここまで引き上げていきたいと思っています。 県民の希望をかなえるということは、まず、結婚をしたいという人が結婚できるようにすることと、あと子育ての不安を取り除いていく、緩和をしていくということ。今は経済的な課題も含めて、働く女性が増えている。これは社会的にも必要なことですし、女性の自己実現の希望をかなえていくうえでも必要な重要なことですから、そういったこともできるようにしていく。そのためには保育環境も必要である、ということで、少し総合的な取り組みになりますけれども、出生率そのものに影響を与える結婚、あるいは子育てのサポート、そういうことを通じて、今の出生率の向上を図っていきたいと考えていますね。