湯崎英彦・広島県知事に聞く(全文1)人口対策“故郷で錦を織る”発想へ転換
人口減少期に入った日本。推計では2060年には、現在の約3割の人口を失い、総人口が9000万人を割り込むと考えられています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)。 かつてない規模と速さで進む人口減少を、各自治体の首長はどのようにとらえ、どのようなビジョンで舵取りしていくのか ── 。広島県の湯崎英彦知事に施策にこめた思いを中心に、地方のあり方や国への提言、思い描く広島県の未来像を聞きました。(2017年1月取材)
40年ぶりに社会動態増……進学・就職期の転出が課題
── 本日は、お忙しい中、ありがとうございます。 ありがとうございます。 ── 国勢調査の結果、日本もいよいよ総人口が減少したことが明らかになりました。広島県も、平成10年に288万人、現在は、平成27年時点で4万人減の284万人となったことがわかっているのですが、この人口減少の要因について、知事としてはどのように考えているか、聞かせてください。 広島県の人口はピークが、今ご指摘のとおり平成10年・1998年ですけれども、それ以前、昭和50年から社会動態的には減少してきたということがあります。平成17年・2005年からは自然動態もマイナスになりまして、そこからいわゆる社会減、自然減が続いてきたというところです。
したがって、広島県で言いますと、一つの大きな要因は、特に東京圏に人が移転をしてしまうという部分と、それから自然減、これはご承知のとおり少子化が進んだ結果として、進んでいるということですね。ただ、直近の平成27年国勢調査がありましたが、そのときの結果によると、社会増減について、社会動態については、実は社会増に転じたという結果がありまして、これは外国人も日本人も増えているという状況なんですけれども、40年ぶりに社会増になっています。 従来の社会動態、社会減の主な理由としては、先ほど申し上げたような東京圏に吸い込まれるということが多いんですけれども、20歳から24歳のバンドで、就職を理由とした転出というのが最大の要因になっています。 もう一つは、就学ですね。広島県の大学進学率というのは全国的にも高いものがありまして、全国6位ですけれども、毎年7000人程度が県外の大学に進学をしているということがあります。特に東京、あるいは大阪、京都というところになりますけれども、逆に、この直近の5年間社会増になったわけですけれども、これは県内の産業、特に製造業を中心として生産活動が活発になって、景気も回復してきた、県民所得も回復してきた、求人も非常に強くなってきたということがありました。 また、今、県としてもUIJターン、これに力を入れて進めていまして、特に新卒の学生ですね、大学と協定を結んで広島に戻ってきてもらったり、あるいは広島の企業にチャンスを見出して来ていただいたり、ということを進めています。それから、今、東京圏・東京で、広島への移住の相談窓口を設けていまして、そこの活動を通じて帰ってきていただいたり、あるいは、ここ最近、広島の露出をすごく増やしているんですね、首都圏で。そういった影響もあって、広島を選択肢として考えていただいている人が増えているのではないかなと思っています。