東京、本当にうまい「絶品のせいろ蕎麦」ベスト5軒…コシ最強、サクッといける《銀座・成増・広尾・分倍河原・後楽園》で発見
香り高く、みずみずしい味わいが魅力のせいろ。産地のテロワールを存分に味わうならせいろに限る、という蕎麦好きもいらっしゃるだろう。ここでは風味よく心地いい蕎麦を提供する実力店を紹介します。 【写真】うまい日本酒も勢揃い…「絶品せいろ蕎麦」ギャラリーはこちら
成増「手打ち蕎麦 眞壁」
うっすらと水気をまとって淡緑に艶めく姿は目にもご馳走。そしてひと箸手繰れば、軽やかなすすり心地から弾けるような香りが鼻先を駆け抜けていった。使用するのは無農薬で蕎麦作りを続ける「赤城深山ファーム」の丸抜きで、その色合いも風味も収穫したての鮮度を維持するため、保存にも心を砕く。ツユも素材に妥協せず、ダシを引く直前に削った本枯節と天然の利尻昆布の分厚い旨みで、この蕎麦が持つ甘みを鮮やかに際立たせているのだ。冷蕎麦はせいろのみ、という潔い品書きからも、この一枚に込めた店主の気迫が伝わってくるだろう。
銀座「sasuga 琳」
蕎麦は江戸時代に花開いたもの。その流れを汲むような「老舗の空気感が好き」という店主の新井さん。銀座という地にありながら、お店にはどこか素朴で落ち着いた佇まいがある。訪れた日の蕎麦は栃木・ 益子産と埼玉・ 三芳産。石臼自家製粉で十割の蕎麦は「持ち味が最大限出るように」、状態を見て挽き方を変えたり、ブレンドをしているそう。出された蕎麦は実にみずみずしく、そのまま口に含んでも馥郁たる旨さ。が、ダシはカツオ節一本というキリッとしつつ濃過ぎないツユもいい。ダシが旨過ぎては素材が生きぬという設計。そこにも江戸前の矜恃あり。
広尾「蕎麦 たじま」
今年で15年になるというお店は、落ち着いた照明に品のある佇まい。接客も隔てのない気持ちよさで、何を頼んでもさすがの安定感に癒される。ご主人の田島さんが自らの蕎麦に求めるものは「しなやかさ、なめらかさ」であり、「口に入れたときにふわりとくる香り」。その言葉通り、きれいな細切りの蕎麦は心地よくコシがあり、口中にみずみずしい。味にブレがないように蕎麦は5種類ほどをブレンドしているという。そしてここにややスモーキーでコクやグラデーションを感じさせるツユがピタリ。ズズッと手繰れば、毎日でも食べ飽きないと思える味だ。