炭酸水市場がコロナで拡大後に横ばい、再成長に向け「割材としてのおいしさ」と「風呂上がりの一杯」の訴求
炭酸水市場は、人々の健康志向と刺激による爽快感を求めるニーズに応えて拡大し、2023年の生産量は37万5400klとなり、2013年比で約3倍となった(全国清涼飲料連合会調べ)。コロナをきっかけに市場はいっそう拡大したが、その後は高止まりで横ばいの状況という。炭酸水市場のさらなる活性化に向けて、大手2社が新たな取り組みを開始した。 【画像】割材としてのおいしさで差別化を図る「サントリー天然水 SPARKLING」、アサヒ飲料 「ウィルキンソン タンサン」
割材としてのおいしさ追求し、独自ミネラル設計の「サントリー天然水 SPARKLING」
割材としてのおいしさを追求する商品を開発したのは、サントリー食品インターナショナル。5月28日から「サントリー天然水 SPARKLING」の500ml・1050mlペットボトルを全国発売した。炭酸水は炭酸ガス圧の強い商品が人気の傾向にあるが、同商品は強炭酸を維持しながら、新たに同社独自のミネラル設計を取り入れることで、これまでより細かく大量の高密度な泡が感じられるという。そして、酒の香り立ちや味わいを引き立たせる中味となり、直飲みでも割材でも、爽快な強刺激が楽しめる味わいを目指したとしている。 すでに3月26日には、業務用の「サントリー天然水 SPARKLING」330mlペットボトルを先行発売しているが、バーテンダー30名ほどへの事前調査において、約9割の人が泡感の満足度が高いと評価したとしており、実際に従来品に比べて約2倍の出荷になるなど好調だという。 炭酸水市場は、イエナカ充実を目的に割材としての需要が伸長傾向にあり、炭酸水の使用用途では、割って飲んでいる人はこの7-8年で2割程度増え、約6割まで拡大しているという。 サントリー食品のブランドマーケティング本部の小椋光平氏は、開発背景について次のように話す。「炭酸水の購入時の重視点は、炭酸の強さと安さで、どれも同じように見られていた。そこで、割材としてのおいしさを引き立たせることが差別化につながると考えた」。また、今回の新商品を開発した商品開発部の飯見勇哉氏は、もともと酒類部門で中味開発を行っていたが、清涼飲料部門に異動して、担当になったという。「お酒で培った知見を活用して炭酸水を研究し、試行錯誤を繰り返した結果、ミネラルの量やバランスの調整にたどりついた。独自のミネラル設計により、お酒の香りやコクを引き立てるとともに、きめ細かい泡感を長く体感できるようになった」としている。 サントリーグループの総合力を活かし、清涼飲料としてのプロモーションだけでなく、割材としても楽しめる“高密度×高刺激の炭酸水”であることを訴求していく考えだ。
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