炭酸水市場がコロナで拡大後に横ばい、再成長に向け「割材としてのおいしさ」と「風呂上がりの一杯」の訴求
シェアトップの「ウィルキンソン」は飲用シーンの拡大に注力
一方、アサヒ飲料の炭酸水ナンバーワンブランドである「ウィルキンソン」は、飲用シーンの拡大を軸に施策を展開する。同ブランドは今年7月に生誕120周年を迎えるロングセラーブランドだ。新たなファンを獲得するため、同社は炭酸水の飲用シーンを消費者に訴求する「おいしさ実感サンプリング」を展開する。これは、5~8月にかけて「風呂上がり」「運動後」「炎天下」など、炭酸水がおいしく感じられるシーンを設定し、それぞれのシーンでの飲用を訴求するサンプリングイベントだ。 同社によれば、炭酸水が最もおいしく感じられるシーンは「風呂上がり」という声が多いという。そこで、5月24日から「堀田湯」(東京都足立区)、5月27日から「文化浴泉」(東京都目黒区)とのコラボレーションを開催し、場内全体で同ブランドの世界観を演出してサンプリングを行う。他でも5月~6月に北海道から九州までの温浴施設で合計約20万本を配布する。 背景には、炭酸水の飲用経験率は50%程度にとどまっていることがある。同社マーケティング一部の香山宏氏は、市場の課題として新規ユーザーの獲得を挙げ、「飲用経験のない消費者に飲んでもらうことは難しい、この課題に対しサンプリングで『ウィルキンソン』を一番おいしいタイミングで飲用してもらうことで、これまで体験したことがなかった消費者に価値を知ってもらい、ブランドのファンになってもらいたい」と話した。 一方、既存ユーザーに向けては「With Food」の訴求を行う。7月からテレビCMの放映を行うほか、「ウィルキンソン タンサン シトラスビター」を7月9日から発売する。オレンジ・レモン・ライムなどの柑橘類による酸味と苦みが特徴の無糖炭酸。食事の時に飲用する飲料には「食事の味を邪魔しないこと」「口をさっぱりさせてくれること」が求められていることに着目し開発したという。パッケージには、食事に合わせた飲用を訴求する“食事と楽しむ”という文言を同ブランドで初めて記載したとしている。 「ウィルキンソン」ブランドは120周年を迎え、7月15日を「ウィルキンソンの日」に新たに制定し、飲用喚起に取り組んでいる。 炭酸水市場は、強炭酸と買い求めやすい価格が重視され、差別化が難しい状況になっていた。市場を牽引する大手2社が新たな取り組みを行うことで、さらに活性化しそうだ。
食品産業新聞社
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