木更津から発信する、ヤンキーファッションの軌跡とファンクな魅力
店内を見渡すと、壁にかけてある「鯉口」が一際存在感を放っている。 鯉口は、作業などをするとき、着物が汚れるのを防ぐために上に着る、袖口の小さい筒袖の上っ張りと言われている服だ。袖(そで)が鯉の口のようにすぼまっていることから、「鯉口」と呼ばれている。一般的に馴染みがなくても、お祭りや屋台などで鯉口を着ている人を一度は見かけたことはあるだろう。 「鯉口は、俳優の寺島進さんが着ているような『漢』のイメージがあるかもしれないですが、4、5年前くらいから氣志團万博のフェスに鯉口を着ていくと目立つといった理由で、最近では女の子も買ってくれるようになりました。 コロナ明けでお祭りが去年から再開して、鯉口もかなり品が動いたので、今年は早々に揃えています」
意外なイメージだった90年代のガルフィーと華々しいメンズアイテム
現在では、ストリートファッションとして若者に人気のガルフィーだが、ひと昔前ではアウトローなイメージが強かった。しかし、あさひやが抱くガルフィーのイメージというと、世間一般のそれとは少し違う。 「ガルフィーも、かれこれ20年以上前から取り扱っていますね。最近、YouTubeを見てびっくりしたのですが、関西の方は本職の人たちがガルフィーを着ていらっしゃったみたいで。 でも、あさひやでは、中学生の男の子がガルフィーの服を着て自転車に乗っているイメージですね」
2000年頃は問屋で仕入れていたが、現在はガルフィーの販売元であるク・ラッチとの直接の取引になった。ひと昔前の時代のガルフィーから、現在までの話を聞くと、あさひやとガルフィーが時代をともに歩んできたことがよくわかる。 ガルフィーに関して、木更津ならではといったこんなエピソードもある。 「2002年に放送されたドラマ『木更津キャッツアイ』。当時、木更津の女の子たちがガルフィーを着ているのを見て、テレビのスタッフさんがガルフィーのジャージについて『あさひや』に聞きに来たこともありました。なぜ木更津の女の子はガルフィーのジャージを着ているのだろうと不思議がっていましたね。 その経緯で、『木更津キャッツアイ』に登場するマスターの奥さんの衣装として、ガルフィーのジャージを貸し出しました」