韓国航空機、大破炎上 同国史上最悪179人死亡 地元消防「バードストライク」原因指摘も…
乗客乗員計181人を乗せた韓国のチェジュ航空機が29日午前9時(日本時間同)ごろ、韓国南西部全羅南道の務安(ムアン)国際空港で着陸に失敗し空港の外壁に激突して爆発、炎上した。消防当局は179人の死亡を確認。機体の後部から乗員2人が救助された。韓国メディアによると、同国内で発生した航空機事故で最悪の被害となった。 【写真】韓国南西部全羅南道の務安国際空港で炎上する航空機 韓国国土交通省などによると、タイ・バンコクを出発した事故機はこの日午前8時半ごろ、務安に到着予定だったが、同8時59分ごろに救難信号を発信。着陸装置が正常に作動せず、滑走路に胴体着陸した。着陸時、機体最後部から接地し、火花と煙を上げながら直進。ほとんど減速できないまま滑走路を突き抜け正面から空港の外壁に激突した。激しい爆音とともに火柱と黒煙が上がり、機体は尾翼部分を残して大破した。 韓国メディアによると、搭乗者の家族は事故直前に「鳥が翼に挟まって着陸できない」とのメッセージを受け取り、その後、連絡が途絶えたという。地元消防当局も鳥が機体に衝突する「バードストライク」が原因の可能性があると指摘しているが、専門家の中には疑問を投げかける向きもある。当局は事故機のフライトレコーダーを回収し、事故原因を調べている。 チェジュ航空の金二培社長は29日、ソウルで記者会見し、原因は未解明だとした上で「責任を痛感している」と謝罪した。事故機は2009年製造のボーイング737―800。チェジュ航空は「定期的に整備を行い、異常の兆候はなかった」としている。 韓国国土交通省によると、搭乗者181人のうち乗客は175人で、国籍は韓国173人、タイ2人。日本外務省関係者によると、日本人の搭乗者は確認されていない。 チェジュ航空は格安航空会社。バンコク―務安便は今月就航したばかりだった。日韓路線では東京、大阪など17路線を持ち、23年には日韓路線を運航する全航空会社の中で搭乗者数最多を記録した。 ▽バードストライク 鳥が構造物にぶつかる事故の総称で、主に航空機との衝突を指す。国土交通省によると、昨年は日本全国の空港で計1499件起き、このうち羽田が121件で最多。航空機が損傷する事案は59件あった。米ニューヨークで09年、左右両方のエンジンに鳥を吸い込んで推力を失った旅客機がハドソン川に不時着した事故など、深刻な事態に至ることも。 ◇最近の主な航空機事故 ▼14年3月 南シナ海上空でマレーシア航空機(乗客乗員239人)が消息絶つ。その後インド洋の島で残骸発見 ▼同7月 ウクライナでマレーシア航空機撃墜、298人全員が死亡 ▼18年10月 インドネシア・ジャカルタ沖でライオンエア機が墜落。乗客乗員189人全員が死亡 ▼22年3月 中国広西チワン族自治区で中国東方航空機が墜落、乗客乗員132人全員が死亡 ▼24年1月 羽田空港で日航機と海上保安庁の航空機が衝突。日航機の乗客乗員379人全員脱出、海保機は5人死亡 ▼今月25日 カザフスタンでアゼルバイジャン航空機が墜落、38人死亡