「2、3回戒厳宣布すれば済む」韓国大統領が指示 検察が捜査結果「銃撃ってでも扉壊せ」
【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣布を受け、国会に投入された軍部隊を指揮した司令官が検察の調べに、戒厳解除後に尹氏から「私が2回、3回と戒厳を宣布すれば済むから続けろ」と議員らを拘束するよう電話で指示されたと供述していたことが分かった。 【写真】尹大統領は金建希夫人をなぜ〝野放し〟にしているのか かねてより問題行動 検察は27日、戒厳を主導したとして内乱の重要任務従事などの罪で、金竜顕(キムヨンヒョン)前国防相を起訴し、金被告に絡む捜査結果を公表した。検察は尹氏が遅くとも3月ごろから戒厳を念頭に金被告らと議論を重ねてきたとみている。関係者の供述などを基に、軍や警察を動員して国会などを封鎖した尹氏と金被告の行為は内乱罪に当たると判断した。 尹氏は今月3日夜の戒厳宣布後、国会で戒厳解除要求決議が可決されるのを阻もうと、周辺で部隊を指揮していた李鎮雨(イジヌ)・首都防衛司令官に電話で、本会議場に行って4人で議員を1人ずつ、かついでくるよう兵士に命じることを指示したという。 尹氏は李氏に「銃を撃ってでも扉を壊して(議員らを)引っ張り出せ」と指示。「戒厳宣布前に兵力を動かすべきだと言ったのに、皆が反対した」とも言及した。別の司令官には「扉をオノで壊してでも全員引き出せ」と指示したとされる。 警察庁長官にも何度も電話をかけ、「国会に入ろうとする議員らは皆、(戒厳の)布告令違反だ。全員拘束しろ」と命じていたとしている。 尹氏側の弁護士は、尹氏が議員らの拘束を指示したとの供述や証言を真っ向から否定している。 検察は、尹氏が3月以降、金被告らと集まった席で「非常大権しか切り抜ける方法がない」などと、戒厳宣布を意味する「非常大権」や「非常措置」といった言葉を度々口にしてきたとしている。 尹氏は11月30日、出身高校が同じ金被告や呂寅兄(ヨインヒョン)国軍防諜司令官と会い、「国を正すには、大統領が憲法上持つ非常措置権、戒厳のようなことをするしかない」と述べた。今月1日には金被告に対し、「いま戒厳をすれば、兵力はどう動かせるか」などと具体的に質問。金被告はこの席で、事前に用意していた戒厳時に尹氏が発表する談話文や、布告令の草案を尹氏に報告したという。