12歳年下の妻に「思い通りに動いてくれよ」とモラハラを繰り返して…ついに離婚を突き付けられた夫が至った“意外な思考”
夫の特性、私の特徴
瑠美さんは基次さんのモラハラ行為を振り返ってみた。 ・基次さんがイライラしている時、しばらくそっとしておくと、「放置された!」とキレ出す ・夫の心を慰めない態度を指摘・叱責され、離婚や別れを匂わされる ・時間が経過すると軽く謝罪され、アドバイスだったと言われ、こちらに反省を促される 「『夫が私を楽しませようとしている時や、自分が楽しみにしている時』『はじめて経験することや、慣れていなくて自信のないことをする時』に、このような“自分が正しいと証明するまで静かにキレ続ける事態”が起こっていることに気付きました。そこで、図書館へ行って調べてみたところ、発達障害の子どもに対する母親の支え方が書かれている本を見つけて、『めっちゃ夫のことだ!』と思ったんです」
瑠美さんは、早速書いてあることを実践してみたところ、明らかに基次さんの怒りの爆発の回数が減った。 効果を実感した瑠美さんは、本に書いてあることを実践すると同時に、自分自身を捉え直していくことにも取り組んでいく。 すると、自身には以下のような特徴があることに気づいた。 ・空気を読みすぎる性質 ・自分よりも周囲を重視 ・自分なら解決できるという慢心 「我ながら、モラハラをする人間にとって、都合のいい性格をしていますよね」 瑠美さんは、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えることが出来る」「乗り越えられない困難は与えられない。きっと乗り越えられる」と思い、自分自身を変えようと決意。それと同時に、これまで基次さんから度々「多分俺は発達障害だと思う」と聞かされてきたものの、しっかりと受け止めてこなかった自分を反省。発達特性についての勉強をスタートした。
「実はあなたとの離婚を考えていた」
基次さんの話に戻そう。 やがて、結婚から1年ほど経った頃、2人でお笑いのライブを見に行った帰り道で、基次さんは瑠美さんが笑っている顔を久しぶりに見た気がして、こう言った。 「何か悩んでいたの?」 すると瑠美さんは答えた。 「あなたのことで悩んでいて、精神的な疲労からカウンセリングも受診したし、実は離婚を考えていた」 基次さんは、いつものようにマグマのような怒りが湧き上がるとともに、絶望を感じた。 「言われた瞬間、妻のことを気にする余裕なんてなくなり、パニックになっていました。ただただ受け入れられず、ショックを受けて、次に怒りが湧いてきました。この怒りは、妻のために自分なりには頑張っていたのに、何で非難されないといけないのかという思いからです。当時の自分は本当に自己中心的だったと思います」 それから1ヶ月ほど経った頃、ようやく基次さんは、「俺は一体、何をしているんだ」という反省の気持ちと、心の底から瑠美さんに対して申し訳ない気持ちになった。 「僕は『何のために身を粉にして頑張っていたのか』と自問しました。結婚当初は『妻を幸せにしたい』『妻に良い暮らしをさせたい』という一心だったのに、結果的に愛する妻を傷つけて、離婚寸前まで追い込んでしまいました。ここは何としてでも、『自分が改心しないといけない』『妻がくれた最後のチャンスを、絶対に無駄にしてはいけない』と思い、本気で自分の問題と向き合う決意をしました」 この時から基次さんは、“モラハラ加害者体質”である自分を変える努力を開始した。 「夫に感謝すべき」「女性は控えめであるべき」妻を離婚寸前まで追い詰めてしまった…男性(49)は自身の“モラハラ体質”とどう向き合ったのか へ続く
旦木 瑞穂
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