被災地では1週間以上、風呂に入れない…水道、電気、ガスが止まっても快適に過ごす「防災のプロ」の知恵
■1週間洗わないと髪の毛はベタベタに… 髪の毛はショートヘアでさえも皮脂でベタつく。1週間洗えないと、ヘアオイルを塗ったかのように髪の毛はベタベタになる。 最近は拭き取り式やフォーム式などさまざまな「水なしシャンプー」が出ているので、一度試して好みの香りや使用感のよい物を見つけておくといいそうだ。水で洗いたい場合は、身体の汚れ落としに使って残ったハッカ水を頭からかけて、頭皮の皮脂を落とすと、スッキリする。 女性の場合、肌のケアができないのはストレスになる。辻さんが防災を意識して普段から使用しているのが、化粧水プラスの拭き取りシート。汚れを拭き取ると同時に、乾燥しやすいお肌のお手入れもできると一押ししている。 ■おいしくない非常食より、食べ慣れた物を 電気がないと、冷蔵庫が止まる。冷蔵品や冷凍品は傷み、ガスが出ないので、調理もできなくなる。その状況を想定して、防災バッグには災害用の非常食を用意しているという人は多いはずだ。しかし、辻さんは普段、自分が食べ慣れた物を備えることをおすすめする。 「非常用のレトルトカレーを毎日食べられますか? ただでさえ水がない状況で塩辛い物を食べたら、喉が乾きます。保存食は塩分が多く含まれているので、腎臓にも負担がかかります。水もほとんど飲まず、ずっと座ったままの姿勢でいるために血流が悪くなり、血栓ができる。そうして下肢に溜まった血栓が肺動脈まで溜まるエコノミークラス症候群になるリスクもある。 災害だからといって、わざわざ非常食を我慢して食べる必要はありません。ストレスのない快適な避難生活を送るには、いつもの食べ慣れた物や好きな物を食べればいいんです」 辻さんが大阪府北部地震で被災した際に食べた物は、北海道のいくらをたっぷり乗せたいくら丼、うな重、焼き肉など日本全国のお取り寄せ食品だ。普段から災害を意識し、こうしたいつもよりワンランク上の豪華な食材を冷凍庫に保存している。 とくに、停電によって自然解凍してしまっても、そのまま食べられるもの、少しの過熱で食べられるものを揃えているという。