被災地では1週間以上、風呂に入れない…水道、電気、ガスが止まっても快適に過ごす「防災のプロ」の知恵
■ペットシーツで手軽に「簡易トイレ」 成人の排尿回数は平均5~7回、排便は1~2回。災害用トイレ100回分のセットだと、1人20日弱分で、断水が30日続けば、明らかに足りない。そこで辻さんが勧めるのが、ペットシーツを利用した簡易トイレだ。 ペットシーツは吸水力もあり、災害トイレ用、氷嚢、止血など傷口の手当、オムツとマルチに応用が利く。これ1枚で成人男性の排尿400CCを難なく吸収してしまう。 介護用シートでもいいが、ペットシーツは低価格(400枚2000円ほど)で用意できるのが利点だ。 辻さんも普段から、チャック付きポリ袋にペットシーツ3枚とゴミ袋を入れて持ち歩いている。外出用防災バッグには約20枚、自宅には約300枚を分散して保管。それだけでなく、自宅には45リットルのゴミ袋150枚、新聞紙30部(週刊誌も可)、トイレットペーパー12ロールも用意している。 簡易トイレはペットシーツとゴミ袋、新聞紙を使って作る。作り方は簡単だ。 ① 自宅トイレの便座を上げ、ゴミ袋を2重にかぶせて便座を下ろす ② 便器の中央部にペットシーツの吸水面が外側に来るように三つ折りして置く ③ ペットシーツの中央にくぼみを作って完成 ④ 排尿・排便後はシーツの上にちぎった新聞紙をかぶせ吸水・消臭する ⑤ 内側のゴミ袋だけ外して小さくまとめて口を縛る。臭いが気になれば、アロマオイルを垂らすのも効果あり。ゴミ袋はゴミ収集日までベランダ等で保管する ⑥ 再び内側のゴミ袋とペットシーツをセットする ■断水中、直面するのは「体臭問題」 水がないということは、シャワーもお風呂も当然使えない。自衛隊の協力で近隣施設で入浴支援が行われるが、被災から最低1週間以上はお風呂には入れない。その間、汗や汚れが身体に蓄積し、強烈な臭いが放出される。それだけではない。頭皮、髪の毛、口内、デリケートゾーンや足など手入れができなくなるので、当然臭いがきつくなる。 辻さんは夏場に丸一日お風呂なしの生活を試したところ、デリケートゾーン、脇、髪の汗や汚れが最も耐えられなかったという。 水を使わずにできる汚れ落としの方法はいろいろとある。辻さんがおすすめするのが、成分99%水の無香料・アルコールフリーの赤ちゃん用おしり拭きシートだ。保湿成分や香料、アルコールを含んだ汗拭きシートは、含有成分が肌に蓄積され、ポロポロと白いカスが落ちるようになるため、避けたほうが無難だという。