被災地では1週間以上、風呂に入れない…水道、電気、ガスが止まっても快適に過ごす「防災のプロ」の知恵
■浄水器を買うのも一手だが、注意点も 「備蓄用にこんな大容量を保管するのは無理だと思うはずです。そして、値の張る5年保存水や10年保存水をわざわざ購入する必要はありません。 実は市販のペットボトルの水でも1年以上は保存できる。必要な本数を用意して、日常の飲料水や料理用として使っては足すというローリングストックをすれば、負担に感じない。あるいは、アウトドア用の浄水器を用意しておくのも方法です。日常の中で、無理なく負担なくできることをすればいいんです」 辻さんも用意しているというアウトドアの浄水器だが、こうした防災品の存在を知ってすぐに飛びつくタイプの人は要注意だ。 「浄水器でろ過した泥水を本当に飲むことができますか? 最悪の場合、排尿をろ過した水を飲むこともあるかもしれませんよ。飲んだ経験がないと、いざという時に不安で飲めないということもあり得ます。想像して無理だと思うなら、違う方法を考えましょう」と、辻さんはアドバイスする。 ■詰め込みすぎた防災バッグ、持ち運べる? 辻さん宅に常備している水の量は、常に276リットル。それをリビングルーム、寝室、トイレ、玄関と分散させてデッドスペースに保管している。1カ所にまとめないのは、保管場所が損壊して水を取り出せない、といった事態を避けるためだ。 さらに、持ち出し用防災バッグには最低3日分の水9リットルを入れている。ほかの防災品も合わせてバッグの重さは13~15キロほど。辻さんはこの重さでも持ち運びできるそうだが、それぞれが持てる重量は異なる。自分がどれくらいの重さであれば耐えられるかを事前に確認しておく必要がある。 さらに、「災害時にいきなり重いバッグを持って避難できるかというと、それは無理です。普段、防災バッグを持って避難所まで歩く訓練をしてないと、いざという時難しいですよね。マンションの場合、エレベーターは止まっているので、訓練では階段を使って、避難所まで何分かかるか把握しておきましょう」 断水の間、トイレは使えなくなる。自宅でも、避難所でも状況は変わらない。特に避難所は大勢の被災者が使うため、1~2日でパンクする。そこで、必ず用意したいのが災害用トイレだ。 「自宅に備蓄している災害用トイレの使い方、わかりますか? 一度も開封することなくパッケージのまま保管している人が案外多いんです。被災地で自宅に用意していたけど、使えなかったという話もよく聞きます。実際に使って試してみましょう」