日本相撲協会は28日、11月の九州場所（10日初日、福岡国際センター）の番付を発表した。9月の秋場所で2度目の優勝を果たし、新大関として迎える大の里（24）が福岡市内の二所ノ関部屋宿舎で会見に臨み、看板力士としての責任を実感した。幕下付け出しの初土俵から所要9場所での大関昇進は昭和以降最速。大器には平成18年夏場所の白鵬以来18年ぶりとなる新大関優勝、さらに最速での横綱昇進へ期待が高まる。 聞くと見るとでは、趣が違う。秋場所直後の大関昇進伝達式から約1カ月。しこ名の文字が大きくなった新番付を手にした大の里は、責任感も漂わせた。 「伝達式を終えて時間もたったが、番付に名前が載っているのをみると大関になった実感が湧くし、より一層引き締めないといけないと駄目だなという気持ちになる。上を目指して頑張る」 幕下10枚目格付け出しの初土俵から1年半足らず。5月の夏場所に続き、秋場所でも2度目の賜杯を抱き、初土俵から所要9場所での大関昇進は昭和以降最速記録となった。新大関の優勝は優勝制度が設定された明治42年以降8人いる。平成18年夏場所の白鵬以来、18年ぶりとなる新大関優勝を目指す大の里は「初日からしっかり流れをつかみたい。一日一番に集中する今まで通りの気持ちは変わらない」。 横綱審議委員会の横綱昇進の内規は「大関で2場所連続優勝もしくはそれに準ずる成績」。初土俵から横綱昇進までの最短所要場所（昭和以降）は羽黒山、照国の「16」で、年6場所制となった昭和33年以降の初土俵では同じ石川県出身の輪島の「21」。新大関には時間も残されている。 大の里は27日まで行われた秋巡業を「アデノウイルス感染症」による体調不良で巡業半ばから離脱。療養を余儀なくされ一年納めの場所への影響も懸念されるが、「徐々に体も動かしている。しっかり稽古をしていいかたちで締めくくりたい」と不安を打ち消した。 昨年九州場所は十両2場所目だった。出世の早さに髪の伸びが追いつかず、前代未聞のちょんまげ姿で協会の看板を背負い「1年前の自分と比べると想像していないところにいる。自分自身、まだ追いついていない」と素直な胸中も口にした。