「ウクライナ戦で立証」…米国・欧州、パトリオットミサイルの大量購入へ(1)
最近、米国と欧州5カ国はウクライナで性能が立証されたパトリオットミサイル系列に対する大規模な契約を締結した。 ①米国と欧州でパトリオットミサイルを相次ぎ契約締結 米国と欧州諸国がウクライナでロシアの様々なミサイルとドローンの防御に成功し、性能を立証したパトリオット対空ミサイルを大量注文し、対空防御能力の拡充に乗り出している。ただ、欧米が導入するミサイルの種類は異なるが、米陸軍は弾道ミサイルの迎撃能力が補強された「PAC-3MSE」を、欧州5カ国はパトリオットミサイル「GEM-T」を共同で大量購入することにした。 11月14日(以下現地時間)、米陸軍は2027年半ばまでにPAC-3MSEミサイルの生産能力を現在の年間500機から650機に増やす7億5200万ドル(約1150億円)の契約を「ロッキード・マーティン社」と締結した。今回の契約は増加する需要に対応しようとする広範にわたる努力の一環であり、ロッキード・マーティン社はこれに先立って目標を予定より先に達成するために独自の資金を投資して生産能力を拡張した。 ロッキード・マーティン社によると、2024年のPAC-3MSEの生産量は30%以上増加し、2025年には20%追加で増える見通しだ。25年末、年間600基のミサイルを生産し、1次目標とした25年半ばまでに550基の生産目標を超過達成できるものと予想される。 11月15日、欧州ではNATO支援調達庁(NSPA)とドイツ・オランダ・ルーマニア・スペイン・スウェーデンの5カ国がパトリオットGEM-T1000発を共同で調達する契約を締結した。GEM-Tは巡航·戦術弾道ミサイル、敵航空機を防御するように設計したパトリオットミサイル系列だ。 今回の契約で導入されるGEM-Tミサイルは、欧州で生産される予定だ。NSPAは2024年1月から「レイセオン」とMBDAの欧州合弁会社「COMLOG」と産業協約を結び、欧州でGEM-Tミサイルの生産能力を拡大している。COMLOGは、レイセオンから重要部品の供給を受け、ドイツ・シュロベンハウゼンのMBDA工場でGEM-Tミサイルを生産することになる。この工場は3万1000平方メートル規模の生産工場と1400平方メートル規模の生産品保存施設で構成され、最近起工式が開かれた。完工は2026年9月。 ②欧州連合執行委、加盟国間の5つの共同調達プロジェクトを承認 11月14日、欧州内の独自防衛産業能力の強化を念頭に置いて、多数の事業を推進している欧州連合進行委員会(EC)が共同調達による欧州防衛産業強化(EDIRPA)構想に基づき、5つの兵器共同調達プロジェクトを承認した。承認プロジェクトは対空防御の強化に向けた2つ、砲弾の共同購入に向けた2つ、そして装甲車の共同購入だ。 対空防御強化のための第一プロジェクトはフランス・ベルギー・サイプラス・エストニア・スペイン・ハンガリー・スロベニア・ルーマニア・デンマーク9カ国が参加する短距離の低高度対空防御システムミストラル3を導入するミストラルプロジェクトだ。もう一つの対空防御プロジェクトはドイツ・スロベニア、ブルガリア・オーストリア・エストニア・ラトビア6カ国が参加する欧州共同航空ミサイル防御構想(JAMIE)で、地対空ミサイル「IRIS-TSLM」を導入するプロジェクトだ。 砲弾共同購入事業はオランダ・イタリア・ポーランド・リトアニア・デンマーク・クロアチア6カ国が参加する155ミリ弾薬共同調達(CPoA155ミリ)とドイツ・デンマーク・オランダ・エストニア4カ国が参加する高爆弾(HE)155ミリプロジェクトの2つだ。装甲車購入事業はフィンランド・ラトビア・スウェーデン・ドイツの4カ国が参加する共通装甲車両システム(CAVS)プロジェクトだ。 各プロジェクトはECからそれぞれ6000万ユーロ(約97万円)ずつ、計3億ユーロの予算を支援される。ECは2024年3月にEDIRPAプロジェクトの選定を開始し、7月25日までに12種類の提案書を検討した後、支援対象を選定した。 ECは、共同調達は規模の経済を通じて対費用比さらに大きな価値を提供し、加盟国の軍隊が核心防衛力をさらに安く購入できるようにすると明らかにした。また、大規模な契約によるより明確な観点とより大きな予測可能性は、欧州の産業を強化し、欧州の国防的な要求に合わせて生産能力を調整できるようにし、加盟国の国防準備態勢を強化すると主張した。