日本株、PBR改善の波のなか、じつは大注目の「プロ厳選・高ROE銘柄5選」を実名紹介
ワールド(3612)
■株価(5月24日時点終値)2067円 PBR 0.85倍 ROE(予)10.21% 主力ブランド事業の店頭回帰による収益回復が顕著だ。アパレル販売の回復に加え、デジタルやプラットフォーム事業などの収益改善も進んでいる。自前で運用する高度な業務運用ノウハウを強みとし、物流、情報システム、店舗運営、在庫管理の各分野での効率化を進めている。ロスや無駄のないファッション・エコシステムのプラットフォーム企業としての成長段階に突入していよう。 2026.2期までの3ヵ年中期計画では、配当性向を現在の30%から段階的に40%に引き上げる方針を示している。劣後ローンの前倒し返済による財務健全化が進んだことで、株主還元の強化に寄与する可能性も高まっている。 会社側は「PBRが欧米企業並みの2倍の評価を得られるよう、十分な収益性と成長性を兼ね備えた企業を目指す」と、並々ならぬ決意を言及している点にも注目している。さらに、子供服事業を主力とするナルミヤ・インターナショナル<9275>との親子上場に関するガバナンス改善にも期待が持てる。
キッツ(6498)
■株価(5月24日時点終値)1094円 PBR 0.98倍 ROE(予)10.51% 青黄銅バルブ(主に建築設備向け)とステンレスバルブを主力製品とし、国内外で圧倒的なシェアを誇っている。青黄銅バルブでは、世界的にもグローバルブランドの一つに数えられるなど、価格主導力の強さを背景とする安定した収益基盤は同社の強みとなっている。 ステンレスバルブは収益性の高い半導体製造装置向けで需要が高まっており、バルブ事業に占める構成比約2割を占めている。半導体関連需要の回復やボトムアウトが視野に入る中で、バルブ事業全体の収益性が向上する期待があろう。ちなみに半導体製造装置向けの需要は、工場建設後に発生するため遅れて波及してくる。すでに国内外での半導体関連の投資ラッシュが進んでいるため、今後の需要増が期待できる。 キッツは年産300億円の現状能力を20%拡大する投資を進めており、これが将来的な売上増に寄与してくるだろう。長期ビジョンでは「2030年度に売上高2,000億円規模、ROE10%以上、当期利益100億円規模」の目標を掲げているが、目標設定の上積みも期待できそうだ。 東証の要請を受け、PBR向上に向けた取り組みを表明する企業も増加してはいるが、具体的な施策に乏しい企業も散見される。今後は、開示内容の「質」が厳しく問われることになると予想されるものの、無い袖を振れないことも容易に想像できる。 一方、収益力の高い企業であれば、積極的な株主還元や成長戦略を通じて、自社の株価を押し上げる期待は大きい。低PBR銘柄の中で二極化がさらに進む展開も想定しておきたいところだ。
宇野沢 茂樹(証券アナリスト)