俳優・松本旭平が語る、役者人生の分岐点と30歳のこれから
「一日だけの恋人」剛役では、今までにないアプローチを披露
――最新作となる舞台「一日だけの恋人」についてもお聞かせください。本作は、ある理由から、初対面にもかかわらず恋人同士のふりをすることになった男女の物語。最初に台本を読まれた際の印象は? 「会話劇ということで、2人の関係性や作品のテンポ感など、新しい挑戦になると思いました。コメディー寄りのストーリーなので、今まで僕が演じてきた役とは異なる点が新鮮でした」 ――松本さんが演じる、剛役について教えてください。 「剛という役は、一見おちゃらけているように見えるんですが、心の奥底ではさまざまな葛藤を抱えている人物です。彼は劇団員でもあるのですが、現実と向き合いながらも、本当に自分がやりたいことを貫く決断をした彼の思いは、役者をやっていない人にも刺さる部分があるだろうなと。自分にとっての正義は何なのか。剛の姿を通して、観客の皆さまも自分自身の今と重ね合わせながら作品を見ていただけたらうれしいです」 ――本作では、松本さんのどんな新しい面が見られそうですか? 「まずは視覚的に『おおっ!?』となるところから、幕を開けます。おちゃらけている役は過去にも演じたことがありますが、今回は見た目から全力でおちゃらけているので。それ以外にも、今までにないようなアプローチで表現したいと思っているので、舞台そのものを楽しんでいる僕を見ていただけるのではないかなと思います」 ――どのようなことを意識されて、稽古に臨まれていますか? 「お客さまに、まるで2人の世界をのぞき見しているような感覚になってもらうことを目指しています。舞台と客席の距離も非常に近いので、息遣いや細かな表情まで伝わってしまうほど。お客さまが『あれ、私に話しかけている?』と錯覚するような遊びも仕掛けているので、臨場感あふれる、今までに見たことがないような舞台になるんじゃないかなと期待しています」
『いつまでも応援したい』と思える存在に、25年は勝負の年
――今後のご予定についてもお聞かせください。 「来年3月には、舞台『ほおずきの家』の再演が決まっています。物語の舞台が博多なので、ずっと『福岡に行きたい』と言い続けていたのですが、2年越しに北九州公演がかないました。初演キャストが再集結することもあり、とても楽しみです」 ――思い入れの深い作品でスタートする25年、幸先がいいですね。 「僕にとって勝負の年ですし、『ほおずきの家』は本当に特別な作品なので、強い縁を感じます。舞台を長くやっていると、駄目出しをいただく機会が減っていくんですが、『ほおずきの家』の演出の横内健介さんは、常に熱心に教えてくださるんです。『これができるなら、もっといける』と提示してくださる方なので、食らい付いていきたいと思える。そんな方とご一緒できることは本当に幸せですね」 ――プライベートについてもお聞きします。30代を迎えて、今後新たに挑戦したいことはありますか? 「30歳になってから、『自分って未経験のものが多いな』っていうことに気付いたんです。これまで『趣味がない』と言っていたんですけれど、やったことがないから見つけられないんだなって思って。何事も苦手と決めつけないで、新しいことに挑戦していきたいです」 ――最後にファンの方に向けてメッセージをお願いします。 「いつも応援してくださっている皆さまに、心から感謝しています。誰かが応援してくれているって、本当にすごいことですよね。そういう方々がいる限り、頑張り続けなきゃいけないと思いますし、いつか『私、あの頃から応援していたんだよ!』と誇ってもらえるように、一緒に頑張りたいなと(笑)。僕のことを信じてくれている人が、こんなに身近にいるんだって感じられることが、とても幸せです。『いつまでも応援したい』と思っていただけるように、もっと高みを目指していくので、応援してくださるとうれしいです」