俳優・松本旭平が語る、役者人生の分岐点と30歳のこれから
芝居の幅を広げて、俳優・松本旭平を知ってもらいたい
――これまでは舞台を中心に活動されてきましたが、30代になって挑戦したいことは? 「舞台も大好きですが、映像の世界にはまだまだ知らないことがたくさんあるので、映像作品にも積極的に挑戦したいです。今年も何回か出演する機会をいただいたんですが、個人的に悔しい思いをすることも多くて。あらためてワークショップに参加するなど、より深くお芝居について学びたい気持ちが強くなりました」 ――それによって、映像作品の見方が変わることはありましたか? 「そうですね。ストーリーではなく、役者さん自身に注目するようになりました。細かい目線の動きを追ってみたり、どんな意図で表現しているのか考えながら見たり。今までとは違う視点で見るようになりました」 ――特に注目されている俳優さんはいますか? 「柳楽優弥さんです。今もドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)を見ているんですが、これまでにないちょっと頼りない感じの役柄がすてきだなって。どんな役柄でも、その役として物語を生きる姿に憧れています。柳楽さんを目標にしつつ、すごく研究させてもらっています」 ――舞台と映像作品の違いを、どのように感じられていますか? 「映像の現場では、舞台とは異なる緊張感があります。稽古を重ねる舞台と違って、映像は限られた撮影で、自分が持っているものを提示することが大事なので。どんな状況にも対応できるように、芝居の幅を広げることが課題だと思っています」 ――確かに、映像では、より集中力と即興力が求められるイメージがあります。 「基本的に、相手役の方と合わせるのは撮影当日ですよね。『あ、こう来るんだ』っていうのが、楽しみであると同時にすごく緊張します」 ――やはり本番では緊張しますか? 「はい。一発本番となると『セリフが飛ばないかな?』という恐怖心もすごくありますし。特に長ゼリフを頂いた時は、一睡もしないで現場に行くことも(笑)。入念に準備しないと落ち着かないんです。そういう面では、どんな時でも即興で対応できる俳優さんって、本当にすごいですよね」 ――逆に、映像の作品から舞台を経験された俳優さんは、「舞台ってすごい」とおっしゃることが多いです。 「映像と舞台、それぞれのよさがありますよね。映像作品を経験すると、舞台の奥深さをあらためて感じます。舞台では、毎日同じ役を演じても、その日の観客や共演者との間で生まれる空気感によって全く異なる芝居になるので」 ――映像の作品を経験された松本さんの新しい魅力を、舞台で拝見できるのも楽しみです。 「もっとより多くの方に、『松本旭平』という俳優を知ってもらいたいです」