“12年の片思い”堤聖也はなぜ井上拓真を攻略できたのか? トレーナーが伝えた「(穴口が)上から見ているぞ!」直後に奪ったダウン…激闘のウラ側
10月13日、14日の両日にわたって東京・有明アリーナで開催されたAmazonの『Prime Video Boxing 10』2DAYSイベントは、7つの世界タイトルマッチに加えて那須川天心のボクシング第5戦が行われ、圧巻のKO防衛あり、激闘あり、世界初戴冠劇ありと充実の内容で幕を閉じた。 【衝撃写真】「拳が顔面にめり込んで…」堤聖也と井上拓真“アツすぎる激闘”の決定的瞬間。“微妙なダウンシーン”の連続写真や「ベルトを天に掲げた」名場面も一気に見る(全70枚) 中でもDAY1のメインイベント、WBA世界バンタム級タイトルマッチは、挑戦者の堤聖也(角海老宝石)が下馬評を覆して王者の井上拓真(大橋)からベルトを奪う快挙を達成。堤はなぜ“格上”とされた拓真を攻略できたのか。堤の参謀、石原雄太トレーナーの言葉を軸に試合を振り返りたい。
「やり方をミスったらフルマーク(負け)もあり得る」
試合後の記者会見、堤は喜びを爆発させるふうでもなく、一つひとつ言葉を選びながら、メディアのインタビューに答えた。大切な思いを正確に言葉にしたい。そんな気持ちが伝わってくるような語り口だった。 「拓真に勝ったというのは本当にうれしいです。拓真がいなかったら僕はプロボクシングに来てないと思うし、高校生のときからずっとリベンジしたいって考えていて。拓真からしたらインターハイで1回試合をした同い年のやつとしか思ってないと思う。12年間、僕が片思いして追いかけてきた。そして今日、追い抜くことができました。最高ですね」 ボクシング界では「花の95年組」という言葉がある。その先頭を走り続けてきたのが3階級制覇王者の田中恒成(畑中)であり、井上尚弥の弟でもある拓真だった。チャレンジャーの堤も同じ95年生まれ。高校時代から何度も全国優勝してきた両者に対し、堤が日本一になったことは一度もない。拓真に敗れたのは高校2年生のインターハイ準決勝だった。 こうして12年越しに雪辱のチャンスを手にしたものの、拓真を攻略するのはだれ一人解けない難解なパズルにチャレンジするようなものだった。堤本人でさえ、戦前は「やり方をミスったらフルマーク(負け)もあり得る」と自らの完敗まで口にしたほどだ。この難問をいかにして解くのか。堤と長年コンビを組む石原トレーナーは次のように語った。 「拓真選手には堤にはないスピードがある。そして何よりディフェンス力が高い。ディフェンスがいい、イコール、正面に立たないということなんですけど、そうなるとパンチを出してもまず当たらない。どう戦略を立て、対策を練り、練習を組み立てていくのか。そこが第一の課題でした」
【関連記事】
- 【衝撃写真】「拳が顔面にめり込んで…」堤聖也と井上拓真“アツすぎる激闘”の決定的瞬間。“微妙なダウンシーン”の連続写真や「ベルトを天に掲げた」名場面も一気に見る(全70枚)
- 【注目】“格下の高校生”だった井上尚弥に敗北「試合後、初めて泣きました」後の世界王者たちを撃破“アマ最強ボクサー”は高校教師に…柏崎刀翔の壮絶人生
- 【世紀の番狂わせ】「完璧に舐められていましたね」“噛ませ犬”扱いの日本人ボクサーが27戦全勝のホープを秒殺TKO…石田順裕がラスベガスを熱狂させた伝説の夜
- 【人気】「俺のこと恨んでいると思っていた」赤井英和を病院送りにした“噛ませ犬”大和田正春はいま…「“浪速のロッキー”の脳が揺れた鮮烈の左フック」
- 【あわせて読みたい】あなたが選ぶ「井上尚弥のベストバウト」は? 700人アンケート結果発表…「井上が最も苦戦した試合」「史上最高のワンツー」は何位?