地震発生10時間後に元気な産声…『井戸水』で医療機能維持した七尾の病院 過去の大災害教訓に“水の備え”
七尾松原病院の職員: 「正直1週間以内には、通水ができるかなと思っていた。日を追うにつれて状況が酷くなっている。まさか1カ月単位で続くとは思っていなかった」 災害拠点病院に指定されている「公立能登総合病院」でも、水が足りていない。
地震で受水槽が破損したため水が確保できず、発災から数日間、手術ができなくなった。
現在は給水車で補っているものの、再開できていない医療もある。
■地震当日から“フル”で医療を継続 過去の大災害から学んだ『水の確保』
366の病床を抱える、能登地方最大の私立病院「恵寿(けいじゅ)総合病院」も2月1日時点では、市からの水の供給は止まっていた。
しかし、この病院にある3棟のうち、新館では“井戸水”が使えるため、地震があった1月1日からフルで医療機能を保つことができているという。
恵寿総合病院の神野正博理事長: 「(手洗い台の)中にも、手術手洗い用のろ過装置が入っている。井戸水をフィルターにかけて綺麗にしている。いま2つ手術やっていて、眼科と腹腔鏡手術をやっているようです」 Q.地震の前と変わらない環境で手術できている? 「まったく変わりません」
この病院には、井戸水をくみ上げてろ過する装置が備え付けられていて、医療機能を維持することができたという。手術だけでなく、トイレや調理の際など日常生活でも使用されている。 神野理事長: 「東日本とか熊本とか大きな災害の教訓を、私たちは学ぶことができました。『水の確保』というのは非常に大きなテーマ。普段から飲み水として使わないけど、使えるように水質検査をしておこう。あるいは、ろ過装置をつけよう、という仕組みを作ってまいりました」
井戸水が活用されている建物は、2013年に完成したものだ。過去の大地震の教訓から、構想段階から「免震対策」「インフラ確保」をテーマにしていた。井戸水の活用は、この災害時に大きな救いとなった。 神野理事長: 「1月1日に七尾市内で水がとまった段階で、私たちの病院は井戸水を使うことができた。災害時に平時の医療も止めちゃいけない。災害のための医療もやらなきゃいけない。地域の復興のための医療もやらなきゃいけない。おそらく3倍くらいの仕事量。それができるだけの備えが必要」