地震発生10時間後に元気な産声…『井戸水』で医療機能維持した七尾の病院 過去の大災害教訓に“水の備え”
■水を確保できた病院では地震発生直後に“新たな命”が産声あげる 医師「本気になって考えて」
能登半島地震で大きな被害を受けた七尾市の「恵寿総合病院」では、地震発生から10時間後、元気な女の子の産声が上がった。 助産師: 「元気元気。おめでとうございます。がんばったね」
当時、能登地方で水と電気が通っていた病院は、恵寿総合病院だけだ。事前に備えていたおかげで、母子ともに健康な状態で手術を終えることができた。 その後も、元気に育っているという。
大地震が発生した際、医療機関が災害時に継続するために、生命線ともいえる「水」をどう確保するのか。 恵寿総合病院の神野理事長: 「私たちもここで大きな地震がくると思わなかった。全国でも同じことが起きる可能性があるので、本気になって、いざという時にどうするのかっていうことを考えていただきたい」
■石川は26%…重要給水施設に繋がる排水管等の耐震化率 東海3県では岐阜も三重も全国平均下回る
医療機関につながる水道管などの耐震性はどうなっているのか。浄水場でつくられた水は、送水管を通って一旦配水池に貯められる。そこから配水管を通って病院などに届けられるが、今回の地震では配水池や配水管が大きくダメージを受けた。
国は、医療機関や避難所といった「重要給水施設」につながる配水管などを、“優先的に耐震化を進めるべき”と通知を出している。 しかし、2022年3月時点の調査では、耐震性があると認めた割合は愛知県が73%だが、岐阜県は27%、三重県は35%、そして石川県は26%で、全国平均の39%を下回っている。
厚労省の担当者は、「水道事業は主に市町村が経営し、水道料金で賄っている。都市部に比べて山間部は建設コストが比較的高く、耐震化に手が回りにくい」と指摘している。 今回の地震を機に「水の確保」の重要性は高まった。いつ起きてもおかしくない地震に備えるには、待ったなしだ。 2024年2月1日放送